カテゴリー: 学習欄

『経営労働政策特別委員会報告』(2017年版)批判

『経営労働政策特別委員会報告』(2017年版)批判

合同・一般労働組合全国協議会事務局長 小泉義秀

はじめに

1月17日に「経営労働政策特別委員会報告」(以下「報告」)が出版された。2017年版のサブタイトルは「人口減少を好機に変える 人材の活躍推進と生産性の向上」である。「序文」の冒頭で会長の榊原定征は「安倍政権が4年間進めてきたアベノミクスによって、景気は緩やかながら着実に回復している。企業収益も全体として見れば高水準で推移しており、多くの企業が2014年から3年連続して大幅な年収べースの賃金引上げを実施して所得も増加している。」と書いているが、こんな嘘を誰も信用しない。「長時間労働を前提とした従来の働き方を見直し、働き方・休み方改革の推進と、多様な人材の活躍促進によって飛躍的な生産性向上を実現する絶好の機会が到来している」とも書いているが、これも全く逆のことを述べているのはすぐわかる。長時間労働の見直しと言いながら、過労死自殺した電通の高橋まつりさんの事など眼中にない。2017年版「報告」は「序文」から破産している。

『燎原の火のごとく 巨大資本JRに勝利した動労水戸の30年』を読む

『燎原の火のごとく 巨大資本JRに勝利した動労水戸の30年』

(編著 国鉄水戸動力車労働組合 2016年11月1日第1版 第1刷)を読む

合同・一般労働組合全国協議会事務局長 小泉義秀

book_mito30a最初の8頁はグラビアだ。30年史のハイライト部分を選び出した珠玉の写真である。320頁の、読み応えがある著作だ。私は朝早起きして3時間、電車の中で2時間、喫茶店で3時間かけて1日で読了した。一気に読んでしまいたくなるワクワクドキドキの中身だからだ。本書はどこから読み進めても良いと思う。私は最初に石井委員長の巻頭言の2~5頁を読み、それから第2部「動労水戸30年 闘いの軌跡」(動労水戸執行副委員長 辻川慎一)105~217頁に進み、第1部「団結―鉄輪旗のもとに」、第3部、第4部と読了した。

石井委員長は「あれから30年が経過しました。いま考えてみると、労働運動史上画期的な出来事でした。」と述べている。軌跡は奇跡の30年だ。「動労水戸が1986年11月に結成されてから、敵階級の憎悪に満ちた攻撃は熾烈を極めました。労働者から労働を奪い、鉄道現場から引きはがし、採算を度外視して役員活動家だけでなく、一般の組合員まで売店やそば屋や自動販売機を管理するベンデイングセンターに隔離しました。その攻撃はじつに22年問続けられました。」と書かれている。辻川さんの第2部全体、執行部座談会を通して読み進む中で、もし私がその現場、その瞬間にそこにいたとしたら、きちんと闘えただろうか、耐え抜くことができただろうかと考えるとやはり信じがたい思いの方が先に立つ。石井委員長の巻頭言はその闘いの歴史に勝利して、新たな段階に立ち向かう動労水戸の勝利感、自負心、誇りを高らかに宣言し、次なる闘いへの決意を凝縮したものとなっている。

第1部の座談会はその30年間の闘いの歴史を8名の執行委員が語っている。8名の強者の強烈な個性を若い西納書記がうまく引き出す構成となっているのが素晴らしい。もっとこの話を聞いていたいな思う直前で終わってしまう余韻を残す企画だ。照沼君が初めて11月集会に参加して辻川さんの隣に座っている写真が60頁に掲載されている。こういう写真があるんだと感動させられた。
座談会の2は石井委員長が兄貴分の立場で青年の動労水戸に加入してくる経緯などが鮮明にわかる内容となっていて凄い。彼らは特別な存在ではなく、東労組の中にいる青年も同様に考えているに違いない。青年座談会は東労組の青年が堤防決壊的に動労水戸に結集してくることを予感させる企画だ。このような青年労働者が動労水戸に結集してきていることが動労水戸の30年の歴史の最大の勝利であり、それは新たな段階の始まりに過ぎないんだということを感じさせてくれる。青年同士だけでなく、石井委員長を入れて対談していることにより、動労水戸が青年とどういう会話をして、共に闘い抜いているのかよくわかる。

第2部は線を引いて舐めるように読んだ。労働組合運動、革命に向かう様々な内容が詰まっている。「はじめに」は曾澤君の強制配転阻止の『労働の奪還』の闘いの記述に始まり、「動労水戸とともに歴史を歩みはじめた次世代の青年たちへの限りない信頼と連帯の訴えである。」(110頁)
で終わる。本書の核心部分がここにある。動労革マルとの闘いの最前線に動労水戸が立ち一歩も引かないで切り開いてきた壮絶としか言いようのない凄まじい歴史が述べられている。中でも圧巻は「第7章 結成30周年のすべてをかけて全国・全世界をとらえる挑戦へ」である。「(1)終焉の時を迎える資本主義」「(2)労働の奪還」「(3)青年の階級のリーダーを生み出す」という構成になっているが、この章の「労働とは何か」「協同と共同性」はとても分かりやすい。この内容の高さと分かりやすさの両方が青年を獲得する要なのだと思う。

本書全体を通して最初から感じたことは誰か特定の組合員に焦点を当てるのではなく、動労水戸の組合員全員が主人公になっている構成だ。それが素晴らしい。これは本の構成でそうなったのではなく、現実の動労水戸の歴史がそういうものなのだ。更に動労水戸の家族、動労水戸の30年の歴史に関わったすべての人に光が当てられている。

オチとエポックは「小編集後記」(104頁)であろう。この頁は決して読み飛ばしてはならない。「うちは、誰か必ず家に泊まっているという新婚生活から始まり、37年になりました。今度結婚する時は、お酒が飲めない人がいいです。(辻川あつ子)」

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編著:国鉄水戸動力車労働組合
発行:出版最前線 / 発売:星雲社
ISBN 978-4-434-22535-2
定価:1800円

11月上旬より書店販売開始!ぜひお買い求めください。

「過労死白書 2016」を読む/事務局長 小泉義秀

表層の統計とアンケートに依存した過労死の実態に迫らない白書

厚生労働省は10月7日、2014年11月に施行された過労死等防止対策推進法に基づき、初の「過労死等防止対策白書」(2016年版)をまとめた。本文128頁と資料編の合計が280頁に及ぶ。全文厚生労働省のホームページからダウンロードして読むことができる。この白書には過労死問題を取り組んでいる森岡孝二(関西大学名誉教授)なども入って作成されている。

しかしこの白書は怒り無くして読むことはできない。これだけの過労死の実態が全面的に明らかになっているのに以下のように書かれているからである。

過労死等の防止のための対策の基本的考え方として白書は「過労死等の発生要因等は明らかでない部分が少なくないため、第一に実態解明のための調査研究が早急に行われることが重要であるとしつつ、その防止は喫緊の課題であるため、調査研究の成果を待つことなく対策に取り組むことを示している。これらの取組により、将来的に過労死等をゼロにすることを目指し、平成32年までに週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5 %以下、年次有給休暇取得率を70%以上、平成29年

までにメンタルへルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とする目標を早期に達成することを目指すこととしている。また、今後おおむね3年を目途にすべての都道府県でシンポジウムを開催するなど、全国で啓発活動が行われるようにするとともに、身精神面の不調を生じた労働者誰もが必要に応じて相談することができる体制の整備を図ることを目指すこととしている。」(84頁)

原因がわからないと書かれているが最大の原因は長時間労働にあることは明白である。この点を曖昧にしたらどんな調査報告も意味がない。「将来的に過労死ゼロをめざす」とあるが、嘘だ。啓蒙運動では何も解決しない。

この白書は結局は「働き方改革」の材料にされてしまう。過労死の現状と分析も表層にとどまっているからだ。我々はこの白書の裏に何が隠されていて、どういう点が不十分なのか明らかにする必要がある。

月80時間を超える残業をしている企業が22・7%

「1年間のうち1か月の時間外労働時間が最も長かった正規雇用従業員(フルタイム) の月間時間外労働時間の企業の割合について、月80時間超えと回答した企業の割合は、全体で22.7%、業種別にみると『情報通信業』 (44.4%)、『学術研究,専門・技術サービス業』(40.5%)、『運輸業,郵便業』 (38.4%)の順に多くなっている。労働者を対象とした調査において、正社員(フルタイム)の平均的な1週間当たりの残業時間について、業種別にその平均をみると、『運輸業,郵便業』(9・3時間)、『教育,学習支援業』の9・2時間)、『建設業』 (8.6時間)の順に多くなっている。また、その残業時間が20時間以上と回答した労働者の割合は、『運輸業,郵便業』 (13.7%)、『建設業』 (12.9%、『教育,学習支援業』(12.8%)の順に多くなっている。(52~53頁)とあるように月80時間を超える残業をしている企業が22・7%もあり、電通に代表される情報通信業、運商業、そして郵政が過労死ラインを超える時間外労働を強いられている。

国鉄分割・民営化攻撃と軌を一にして電通労働運動が解体され、郵政労働運動が解体され、運輸業界は規制緩和で労働条件がでたらめにされてこういう実態になっている。

国家公務員や地方公務員、教員についてもデータが出されている。ここでは教育労働者について書かれた部分を引用する。

「教員の勤務時間については、文部科学省が平成18年度に実施した教員勤務実態調査において、教諭の残業時間は1か月当たり、約42時間という結果が出ている。国際的な比較としては、平成26年に6月に公表されたOECD国際教員指導環境調査在では、日本の教員の1週間当たりの勤務時間は参加国中で最長となっている。また、平成26年度中に病気休職処分となった教職員は8, 277人で、そのうち精神疾患による病気休職者数は5, 045人(全教職員数の0. 55 %)と平成19年度以降、5, 000人前後で推移している(平成26年度公立学校職員の人事行政状況調査)。さらに、平成21年度から平成25年度の間で、脳・心臓疾忠、精神疾患に係る公務災害認定を受けた地方公務員の約3割が学校職員となっている。」(118~119頁)

これも現実の実態にそぐわない。現実の教育労働者の時間外労働はこんなものではない。労働時間の長さだけでなく、初任者研修中の新任教員に対してどのようなことがなされ、自主退職や病気に追い込まれている労働実態に迫らないと精神疾患になった教育労働者の実態をつかむことはできない。白書の内容は表層の数字しかとらえていないため現実がわからないのである。労働現場の声が反映されていない官制白書でしかないのだ。

勤務時間インターバル制度導入をめぐる問題

勤務時間インターバル制度を導入している企業は2・2%しかいない。「導入していない」と答えた企業は94・9%にのぼる(67頁)。インターバル制度というのは、前日の終業時間と次の日の始業時間を労働者が睡眠と休養をとれるに十分な時間を確保する制度である。連合は11時間のインターバルを要求しているが、経団連の榊原は認めようとしない。例えば20時まで残業をしたならば次の日の出勤時間は7時からにしなければならないというのがこの11時間インターバル制度だ。しかし、これは通勤時間が全く考慮されていない。通勤時間が2時間かかるような場合は、22時に帰宅して5時に家を出なければならない。これではまともな睡眠も休養も取ることはできない。連合の11時間インターバル制度要求は資本に迎合した極めてあいまいで緩やかな要求だ。しかしこんな要求さえも経団連は認めようとしていない。白書はこういう点については一言も触れていない。

ストレスチェック制度の問題点

「ストレスチェック制度は、労働者の仕事によるストレスの程度を把握し、その結果に応じて早期に対応することで、メンタルへルス不調になることを予防すること、つまり、1次予防を目的としており、第6-1図の流れに沿って実施するものである。」(107頁)がストレスチェック制度の定義であり、ストレスチェック制度の実施プログラムや「こころほっとライン」などの電話を厚生労働省が用意している。これは2014年6月25日に交付された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」において新たに創設されたメンタルヘルス不調を未然に防ぐとされる法律である。しかし「事業者による不適切な取扱がなされることのないよう」とか「例えば、ストレスチェックを受けた労働者の所属部署の責任者にとっては、そのストレスチェック結果を人事労務管理能力の評価指標として用いられる可能性があるため、そうした責任者に不利益が生じないよう配慮する必要がある。」(111頁)という但し書きがいっぱいつけられているようにストレスチェック制度は労働者のためのものではない。ストレスチェック制度でストレスを感じている労働者は病者予備軍のレッテルを張られ、業務から外されたり、業績評価制度で不利な評価をつけられることになる。したがってストレスチェック制度そのものがストレスになる。相模原事件以後多くの職場でストレスチェックが行われている。しかし、ストレスの根本原因である長時間労働や過重労働、人員不足、パワハラをそのままにしてのストレスチェック制度は弱い立場にある労働者をあぶりだし、切り捨てていく道具になっているのである。その意味でこのような官制のストレスチェック制度は粉砕しなければならない。労働組合が団結して長時間労働を許さず、仲間を守る闘い以外に過労死も精神病にも対応することはできない。

トラック運送業の長時間労働改善に向けたロードマップ?

「産業別でみても、道路貨物運送業の年間総実労働時間(パートタイム労働者を除く)は、全産業の中で最も長い、2, 443時間(所定内労働時間2, 018時間、所定外労働時間425時間) であり、平均の2,026時間を大きく上回るなど(厚生労働省「毎月勤労統計調査」(平成27年))、各種調査においてトラック運転者の長時間労働の実態が明らかとなっている。また、厚生労働省「過労死等の労災補償状況(平成27年度)を見ても、脳・心臓疾患の全支給決定件数251件のうち79件が、精神障害の力全支給決定件数472件のうち27件がトラック運転者に対するものであり、すべての労働者の中に占めるトラック運転音の割合が大きな比率を占めている。」(114~115頁)とあり、トラック運送業の長時間労働是正問題は急務である。

しかし、2015年4月の通常国会に提出された「労働基準法等の一部を改正する法律案」では、長時間労働抑制の観点から、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の引上げ(25%→50%)について、中小企業への適用猶予措置を見直すこととされた。が、トラック運送業に関しては2019年まで猶予が引き伸ばされていて、いつ実現するかもわからない状況にある。

更に問題なのは①トラック運転手の場合、待ち時間が労働時間に参入されていないケースが多い。労働組合があるところでも争いになるが、無いところでは待ち時間が労働時間とみなされていない。②小竹運輸グループのケースのように労働時間が正確に記録されない企業もある。所定内労働時間だけでなく時間外労働時間も含めて、労働時間という概念がないがごとき労働実態だということだ。③それをさらに助長するのが固定残業代制度だ。あらかじめ固定残業代として10時間とか20時間分の残業代を賃金に含ませておいて、20時間を超える時間外労働をしても残業代を一切払わない違法行為が行われている。群馬中央タクシーのケースがそれだ。

待ち時間が労働時間とみなされないケースというのは、大きな会社に荷物を運ぶ場合、一度に荷物を降ろすことはできないため、荷卸しのために相手の会社に到着しても2時間~4時間待たされるケースが多々ある。この場合いつ荷卸しするかわからないため、車の中にいていつでも動ける状態に運転手は準備している。休憩時間ではなく、運転中と同じだ。しかしこの時間を労働時間に参入しない会社が多々ある。こういう会社は昼食休憩や休憩を取らせないで一日中車を走らせて車が動いている時間しか賃金を支払わないのである。こうなるとトラック運転手の労働時間はもっと伸びる。

小竹運輸グループの場合は、長距離手当が付くと、時間外手当が付かないシステムになっている。その場合は時間外労働時間が何時間あったか労働時間の欄は空欄となり、現実の時間外労働時間は記録されない。したがって記録上は60時間しか時間外労働をしていないが、現実は190時間を超えて過労死するという事態になるのである。運送業界はこういう出鱈目な運行管理が行われている。白書はこういう現実の実態に迫っていない。記録上の時間外労働時間ではない残業が日常茶飯事に行われているという実態をつかまないと過労死は無くならない。

安倍の働き方改革は過労死促進であり、残業代ゼロをデマとペテンで覆い隠している。闘いによってその実態を暴く必要がある。それが我々の任務だ。

労働法制改悪阻止、外注化・非正規職撤廃! 11・6日比谷野音に全力結集を!

 

 

「同一価値労働同一賃金論」批判

「同一価値労働同一賃金論」批判

合同・一般労働組合全国協議会事務局長 小泉義秀

はじめに

権力筋の雑誌『選択』(2016年4月)は連合幹部の話として安倍が何故「同一労働同一賃金」唐突に打ち出してきたのかその理由を以下のように解説する。
「これには、同一労働同一賃金の実現を大きな目標とするUAゼンセンなど連合内の民間労組中心の右派系労組(旧同盟系)と、公務員労組などの左派系労組へ旧総評系) の分断効果もある。この問題が夏の参院選の主要争点の一つとなるのは確実だが、両者のせめぎあいの中で、連合としては態度を暖昧にせざるをえない」(54~55頁)
さらに『選択』6月号は「化学総連に続いて『金属労協』も離脱 四分五裂する労組『連合』」という見出しを掲げて、連合の解体状況について述べている。安倍が仕掛けた旧同盟系の切り崩しも加わり、「民共合作」が火に油を注いだという。「野党共闘」と連合も戦後労働法制の抜本的改悪、原理的転換の前に自滅の道へ転落している。
問題は「同一労働同一賃金」を掲げることに、何故分断効果があるかである。同一価値労働同一賃金論を正しく批判している労働組合も党派も我々以外にない。逆にこの賃金論が正しいとされている。総体としてこの論理に屈服しているのが現状である。分断効果レベルではなく、この攻撃は労働法制改悪攻撃の核心をなす。賃金は労働者分断支配の根幹だからだ。
この攻撃の核心は「正規か、非正規かといった雇用の形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保する。そして、同一労働同一賃金の実現に踏み込む」(『一億総活躍プラン』)にある。正規雇用を無くして多種多様な雇用形態で労働者を分断する手段、労働者を団結させない攻撃として使われようとしているのが「同一価値労働同一賃金」原則なのである。同一価値の労働に対して同一の賃金が支払われれば良いというのが同一価値労働同一賃金論者の主張だ。だから彼らにとっては正規・非正規は関係ない。8時間労働で1万円の労働は4時間で5千円の労働に等しい。これが同一価値労働同一賃金原則だ。時短労働者にも同じ同一価値労働同一賃金を支払えという要求はこれで達成されたことになる。1日5千円の賃金では生きていけないということに彼らは関心がない。同一価値労働同一賃金原則は賃金水準がいかに決まるかは関係がないのである。更に彼らの論理では半分の価値の労働は半分の賃金で良い、さらに5分の1の価値の労働は5分の1の賃金で良いということになる。UAゼンセンや共産党系の生協労連が推進している同一価値労働同一賃金はこれだ。したがって限定正社員制度、有期雇用の無期転換による「準正社員」のような新たな非正規雇用、多種多様な非正規雇用に対応した、「同一価値労働同一賃金原則が貫かれていれば雇用形態は関係がないだろう」というのが安倍の論理だ。労働契約法20条や、派遣法、パートタイム労働法における「不合理な」ものを禁止するという論理は正規・非正規雇用という雇用形態による最大の「不合理」と差別を容認したうえで、賃金等の差別・違いの「不合理」を同一価値労働同一賃金原則で覆い隠してしまおうというのである。更にこの論理で正規雇用の雇用形態と賃金の在り方を全面的に破壊しようとしているのである。安倍の同一労働同一賃金攻撃はそういう性質のものである。
安倍は消費税率増税を延期しても「財政健全化目標を維持」するとしている。一億総活躍プランでは保育士や介護士の待遇改善を掲げ、それには少なくとも1・5兆円の金が必要になる。しかし安倍は赤字国債をこれ以上発行しないで財政健全化を図るという。どこから金を出すのか?
労働法制の全面改悪、全労働者の非正規化によってそれらを貫徹しようとしているということだ。JR、郵政をはじめ、教育労働者、公務員労働者の非正規化攻撃を画策しているということだ。その攻撃の環に「同一価値労働同一賃金」攻撃があるのだ。
「ニッポン1億総活躍プラン」の同一労働同一賃金原則はEU法を模範とするとある。EU法は客観的な理由があれば、賃金に差を設けるなどの取扱いも認められると述べ、その客観的な理由の例としてフランスでは提供された労働の質の違い、在職期聞(勤続年数)の違い、キャリアコースの違い、企業内での法的状況の違い、採用の必要性(緊急性)の違いなど、ドイツでは、学歴、(取得)資格、職業格付けの違いなどを挙げている。こういう但し書きが前提となる同一価値労働同一賃金原則は、UAゼンセンが進めている「価値の違う労働には違う賃金が支払われて当然」という低賃金・差別賃金が法律として固定化されることになる。鳴り物入りで導入される出鱈目な同一価値労働同一賃金は敵の破算の現れだ。連合系労働雑誌『労働調査』3月号が同一価値労働同一賃金の特集を組むと、日本共産党の理論誌『前衛』6月号も同一賃金同一労働の特集を組み、安倍の同一労働同一賃金を共に担う立場で労働者を組織しようとしている。しかし、連合や日本共産党が安倍と一体になって襲い掛かる構造の中に今の階級攻防がはっきりと見える。裏切者がだれで、誰が階級的に闘う存在であるかがよくわかる構造だ。この出鱈目な賃金論を理論的にも運動的にも粉砕することは可能だ。全国協がその先頭に立ってUAゼンセンや生協の労働者を組織していく。全国協1000-1万の隊列をこの選挙戦の闘いの中で登場させる。改憲・戦争と労働法制大改悪に突き進む安倍を打倒しよう!

『改正労働契約法の詳解』の「学習ノート」

会則/議案/声明/資料

『改正労働契約法の詳解』(第1東京弁護士会労度法制委員会編 労働調査会 2013年2月28日初版)の「学習ノート」

合同・一般労働組合全国協議会事務局長 小泉義秀
はじめに

改正労働契約法は2012年8月10日に立法化された。18条、19条、20条がその条文だ。19条は即日施行になり、18条、20条は2013年4月1日に施行になった。本稿は『改正労働契約法の詳解』(労働調査会 2013年2月28日初版)の「学習ノート」である。CTSにおいて就業規則の改悪攻撃がかけられている。この攻撃はCTSにとどまるものでなく、全産別の課題だ。この攻撃は改悪派遣法と一体でこれから全国の職場で大問題化する。動労千葉のCTSの闘いは最先端攻防である。この攻撃に反撃する視点から、法的問題点について学ぶ立場でノートを作成した。

会則/議案/声明/資料 (ノートの続き)

暴処法とはいかなる法律なのか?

暴処法とはいかなる法律なのか?

合同・一般労働組合全国協議会事務局長 小泉義秀

はじめに

以下は2009年2月23日、国労5・27臨大闘争弾圧裁判の第104回公判において、小樽商科大学教授・荻野富士夫先生が証言し、その際に公判廷に提出された荻野先生の証拠・資料を基にした解説である。証拠・資料は合同・一般全国協議会のホーム頁の学習欄にテキスト化して掲載してある。関心のある人はその欄を参照のこと。

『2016年版 経営労働政策特別委員会報告』批判 

『2016年版 経営労働政策特別委員会報告』批判

合同・一般労働組合全国協議会事務局長 小泉義秀

はじめに

「『2016年版経営労働政策特別委員会報告』は、人口減少という国家的な課題と経済の好循環の実現への対応を念頭におきながら、賃金はもとより、多様な人材の活躍推進や、働き方・休み方改革などについてもさまざまなメッセージを込めた」(序文)とあるように「人口減少下での経済の好循環と企業の持続的成長の実現」がサブタイトルだ。会長の榊原定征は「『新三本の矢』のなかで最も重要な点は、『GD P600兆円』というチャレンジングな目標の達成にある」(序文)と、できもしない架空のプランを夢想し、「近年にない大幅な月例賃金の引上げが実現し、賞与・一時金においても、2008年以来の高い水準を記録した」(同)とデマを書き連ね、「デフレからの脱却は、もう一息のところまできている」(同)と自分に言い聞かせる。

しかし新自由主義は労働力を再生産できないところまで崩壊した。労働者を非正規化して、結婚も子供も作り家庭生活をおくることができない状態に全労働者を叩き込み、資本主義を持続させていく基盤を自ら破壊してしまった。労働者から搾取すること抜きに資本主義は成立しない。その労働者を絶滅させる攻撃が新自由主義だった。2016年版経労委報告は新自由主義の崩壊を自己暴露する破産的な矛盾に満ちた、出鱈目な内容である。特に際立つのが安倍の1月22日の施政方針演説と同じく「原発」について一言も触れず、語らずに黙殺していることだ。3・11の原発事故に一切触れずに現在進行形の放射能汚染や福島の子供たちの甲状腺がんをなかったことにするブルジョアジーの無責任体制の象徴が経労委報告だ。株の下落で年金が2016年に入り1カ月も経たないうちに数兆円吹っ飛んだ。誰が責任を取るのか? 誰も責任をとらない! 全てが他人事のようだ。スキーバス事故、労災、過労死、過労自殺…。新自由主義の規制緩和、外注化・非正規化が元凶ではないか。それらすべてを他人事のように語り、非正規労働を労働者が自ら好んで選択しているとする経労委報告を徹底的に弾劾しなければならない。

総人口1億人維持は不可能

「生産年齢人口(15~64歳の人口)は、1995年をピークに、2014年にはすでに約1000万人減少し、2060年にはさらに3000万人以上も減少すると推計されている」(同1頁)と人口減少を国家的危機と断じ、「直ちに人口減少対策に取り組めば、50年後も総人口1億人を維持し続けることは決して不可能ではない」(3頁)と論ずる。しかし、人口減少対策は新自由主義の下ではありえない。「30歳代男性の未婚率は、正規就業者が30. 7%であるのに対し、非正規就業者は75. 6%と正規の2. 5倍に上る」(同39頁注)とあるように非正規の青年は結婚することも子供を作ることもできない状況に置かれている。この根本原因が人口減少の核心にある。したがって外注化・非正規化が生命線の新自由主義は人口減少を解決することはできないのだ。

「新卒者の卒後3年以内の離職率は、大卒者が約3割、高卒者が約4割で推移しており、若年層における高い失業率の要因の一つになっている。若年期における離転職の繰返しは、職業生涯にわたるキャリア形成に悪影響を及ぼす恐れがあるだけでなく、結婚や出産の時期の遅れにもつながることから、人口減少への対応、少子化対策の観点からも深刻な問題である」(7頁)と適格な分析を行いながら、別のところでは転職を賛美している。それが「第2章 雇用・労働における政策的な課題」の「4、非正規労働者の現状と課題」の箇所だ。

「2014年の転職者数をみると、定年退職となる60歳を含む55歳以上の世代を除けば、非正規から正規へ雇用形態が転換した者の方が多く、特に15~34歳では正規から非正規へ転換した者が14万人に対して、正規へ転換した者は23万人となっている。」(同39頁)と非正規から正規への転職が増えているかのような数値を出している。しかし、ここの数値の根拠は示されていない。総務省統計によれば転職者比率が最も高いのは15~24歳で男性が10・2%、女性が12・7%であり、2014年平均が男女合計で4・6%だ。青年の離職・転職率が際立って高いことがわかる。この数値は青年が不安定な雇用形態にあり、長く勤めていない現実の現れであり、経団連がそれを良いことのように描いているのは許しがたい。

残業代ゼロ法案・企画業務裁量労働制改悪を目論む

「働き過ぎ防止に寄与する法整備」の項では「年間に年休を1日も取得していない正社員が16.4%もいるなか、取得率が低い者ほど長時間労働の傾向にある時間労働の傾向にある」「.60時間以上労働した正社員のうちの27. 7%が年休取得率0 %の者であった」(同32頁)と働き過ぎの実態を暴露しながら、次の頁で「近年、労働時間と成果とが必ずしも比例しない仕事が増加するなか、労働時間に比例して成果も上がる労働を前提とした現行の労働時間規制に替わる新たな仕組みが求められている」(同33頁)と「高度プロフェッショナル制度」導入推進を語る。「残業代ゼロ法案という一方的で誤った捉え方している向きも多いが、この制度は、高い年収が確実に見込まれることを要件としており、制度を選択して賃金が下がることは制度導入の主旨からしてもあってはならない。その意昧で、この法案は『高年収保障型成果給』実現法案とも呼べるものである」(同33~34頁)と新語で誤魔化そうとしている。企画業務型裁量労働制については本人同意が原則だから良いんだと言い方で導入しようと改悪を目論み、フレックスタイム制についても清算期間の上限を現行の1カ月から3カ月に延長しようとしている。期間が広がれば広がるほど労働時間規制が曖昧になる。

改悪派遣法については「1999年以来の大改正と」と賛美し、「今回の改正法のべースとなった労働政策審議会の建議文では、2012年改正の見直しも掲げられていたところである。前述の労働契約申込みみなし制度に加え、グルーブ企業内派遣の8割規制、離職後一年以内の派遣としての受入れの禁止、日雇派遣の原則禁止については、すでに現場で混乱を招いていることから、早期の見直し議論を開始すべきである」(同36頁)と更なる改悪を準備している。派遣法廃絶を掲げて闘うことが求められている。

労働者が非正規という雇用形態を自ら進んで選択したのか

「非正規労働者数の増加や、雇用者に占める割合の上昇を捉えて、問題視する声が多く聞かれるが、働き方を選ぶ理由はさまざまであり、その実態を正確に捉え、議論していく必要がある。」(同38頁)と、あたかも労働者が非正規という雇用形態を自ら進んで選択したかのように書いている。その根拠として引用しているのが総務省「労働力調査」だ。非正規雇用を選択した理由として、パートタイム労働者を中心に「自分の都合のよい時間に働きたいから」と回答した労働者の割合が25・2%と最も高くなっているという。一方、本人の意思に反し、「正規の職員・従業員の仕事がないから」と回答した者は18・1%に過ぎないというのである。

この総務省統計局の数値は2015年2月17日発表の2014年平均の速報値であり、この統計は男女別の数値を前面に出している。18・1%は男女合計の数値であるが、男性だけの場合は27・9%と「正規の職員・従業員の仕事がないから」が最も高い。女性の数値は13・6%のため平均すると18・1なのであって、女性の数値が「自分の都合の良い時間に働きたい」(26・3%)、「家計の補助・学費等を得たいから」(25・5%)、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」(16・3%)となっているのは、シングルマザーだったり、育児や介護などのしわ寄せが女性に押し付けられ、正規で働く選択肢が狭められている状況の中での統計値であることに留意しなければならない。同じ総務省「労働力調査」の、転職を希望している非正規労働者が今の仕事を選んだ理由を問うている「正規の職員・従業員の仕事がないから」の数値は男女合計で34%もある。男性だけだと48%に上る。この数値は同じテーマについて別の角度からアプローチしたものとして意味がある。統計の数値をきちんと分析すると「正規の職員・従業員の仕事がないから」が圧倒的に高いことがわかる。経団連の数値は都合の良い部分だけを取り上げているに過ぎない。

したがって図表2-3「年齢別・雇用形態別非正規労働者数(2014年)」で選択的非正規労働者1631万人、不本意非正規労働者331万人と分類し、あたかも自ら進んで非正規雇用を選択しているかのように描いているのは出鱈目だ。

賃金引き上げの虚構

「賃金引上げなどの処遇改善も進んでいる。2015年の経団連の調査によると、非正規労働者に対して実施を決定した施策として、『基本給・時給の増額』と回答した企業が55. 3%と最も多く、次いで『賞与・一時金等の支給・増額』が34. 6%となっている。」(同40頁)と記しているが、これは経団連のアンケート調査に過ぎない。

「経団連の2015年調査によると、大手企業における月例賃金の引上げ額(定期昇給、べースアップ等含む)は8, 235円(引上げ率2.52%)となり、1998年以来17年ぶりに8,000円を超えた。中小企業においても4, 702円(引上げ率1. 87%)と、金額・率ともに2000年以降で最も高い水準となった。また、賞.一時金の支給額(大手企業)も3年連続で増加し、夏季・年末ともに2008年以来の高水準であった」(同55頁)とあるが経団連の一部に過ぎないのだ。

「厚労省の『毎月勤労統計調査』の労働者の平均賃金(年収)は1997年から2013年の間に、372万円から314万円になり、一人当たり58万円も低下している。…97年の平均賃金を100とすれば13年の賃金は84になる」(『雇用身分社会』森岡孝二著 岩波新書 2015年10月20日第1刷 182~183頁)が現実だ。

前掲「総務省労働力調査」によれば女性の非正規の職員・従業員の年間収入は100万円未満が46・2%であり、前年比0・9ポイント低下している。次いで100~199万円が39%を占める。女性の非正規の85・2%が200万円未満ということだ。

男性の非正規労働者の年収は100~199万円が30・7%(同0・7ポイント低下)、100万円未満が25・8%(同0・5ポイント低下)だ。200万円未満は56・8%にも上るということだ。こういう低賃金を労働者自ら望んで選択したというが安倍や経団連の主張なのだ。怒りに耐えない。

結語

生きさせろ! 食えるだけの賃金をよこせ! 派遣法を廃絶しよう! 残業代ゼロ法案粉砕! 解雇の金銭解決制度粉砕! 戦略特区攻撃粉砕! 国鉄闘争を基軸に安倍政権の労働法制改悪攻撃を粉砕しよう! 外注化・非正規職化攻撃を許すな! 朝鮮戦争の臨戦態勢を粉砕しよう!

韓国民主労総のゼネストと連帯して、ストライキを打てる階級的労働組合をよみがえらせよう! 16春闘を闘い抜こう! 2・14国鉄集会に全力結集しよう!

民主労総の闘いから学ぶ-韓国の労働運動の歴史

民主労総の闘いから学ぶ-韓国の労働運動の歴史(はじめに)

 全文(会則/議案/声明/資料に掲載)

合同・一般労働組合全国協議会事務局長 小泉義秀

はじめに

韓国の民主労総は11・14大闘争を爆発させ、さらに12・5にそれを上回るゼネストと大闘争を準備している。世界で民主労総のようにゼネストで闘っている労働組合はない。11・14集会でハンサンギュン委員長は次のように述べた。
「第1には45年が経ってなお多くのチョンテイルがもがいている野蛮な世界を変えるために、自信をもって叫ばなければなりません。死ぬほど働いても人間らしく生きられない世の中は私たちが望む世界ではなく、その権力は私たちのための権力ではないので、労働者民衆のための世界は、私たちが作るということだ。労働者が立ち上がらなければ、世界は決して変わらない。…1千万非正規時代を終わらせ、労働者が尊重される世の中を作る覚悟で闘ってきた同志たちの歩みが感動であり、希望です」(『前進』第2707号6面)
現在、民主労総は朴槿恵の労働法制改悪と闘い抜いている。その最大の焦点となっているのが賃金ピーク制である。これは11・2-11・16の民主労総との理念交流会、動労千葉と民主労総訪日団との交流会の中でそのことが明らかになった。賃金ピーク制はすなわち動労千葉が反対の闘いを貫いてきた、シニア制度そのものである。国鉄闘争、1047名の解雇撤回闘争とシニア制度反対―外注化・非正規職化阻止の闘いは世界史的闘いなのだ。それはすなわち動労総連合建設の闘いに直結し、合同・一般労働組合全国協議会の組織強化拡大と一体の闘いである。
賃金ピーク制は日本の「賃金減額制度」を模倣したものであり、派遣法や有期労働契約などあらゆる労働法規は日本の法や制度を韓国流に作り替えて導入している。その意味では似ているのでわかりやすいという面と、似ているから同じものだとするのは間違いの元だということがわかる。
例えば2011年に李明博(イミョンバク)政権の時に導入された複数労組制の解禁の問題である。合同労組の立場からすると、ユニオンショップ協定でがんじがらめにされている会社の中で、少数派が合同労組を立ち上げて資本と闘う労働組合を新たに結成して闘う場合、複数労組制禁止の下では、その合同労組は合法的労働組合足りえない。したがって複数労組制解禁は良いことのように思えてしまう。複数労組制禁止は世界の労働組合法の原則とは異なり、労働組合結成の自由を抑圧する制度であり、不当なものであることは明らかだ。しかし民主労総の組織化と闘いはその不当な制度を逆手にとって組織を作り上げた。複数労組制解禁はその民主労総の力を削ぐために導入されたのである。
「2010年の『労働組合法及び労働関係調整法』改正によって2011年7月から企業単位の労組は二つ以上設立可能となり、複数ある労組が使用者と交渉する際には、交渉窓口の単一化、つまり交渉代表の組合を決めなければならなくなった」「会社が多くのお金をかけて躍起になって第二組合を作った理由が、結局は民主労総を認めないためであることを時々刻々と確認しなければならなかった」(『塩花の木』キムジンスク著 耕文社 2013年11月10日刊 23~24頁)
専従費を資本の側が出してきた歴史的慣行がある場合、それを不当労働行為として禁止にするのは、韓国の場合はやはり闘う労働組合の力を削ぐためのものである。日本では戦後労働法の中で不当労働行為として禁止されてきたことであるが、歴史的経緯が違うのだ。
他にも、「第三者の介入禁止」条項も日本ではありえない制度だ。
「1980年、労働組合法と労働争議関係調整法に、直接雇用契約を結んでいない第三者が労働組合の設立や団体交渉に関わることを禁止する『第三者介入禁止』条項が新設され、労組組織化を弾圧する法的根拠とされた。2006年にこのような条項は削除されたが、現在も警察がストライキ参加者や支援者を業務妨害罪で拘束する等の弾圧が続いている」(同上 13頁)
企業に雇用されている労働者以外はその労働組合に関与してはいけない法律である。そのため専従オルグや上部団体の役員などは団体交渉にも出席できないし、争議の支援もできないできた。それが犯罪とされてきたのだ。韓国では多くの労組活動家がこの法律で懲役刑を受けている。
そうなると組合員をオルグして組織するのは現場組合員自身だ。団体交渉もオルグ任せではできない。この悪法が逆に現場組合員の組織力をつけさせたのだと言える。労働組合を組織する場合も職場で最初から多数派にならなければ団体交渉をすることも、労働組合法の適用を受ける合法的労組として存在することができない。いつまでも少数派でいることはできないのだ。韓国の場合は日本の合同・一般労組のように一人分会で資本と団体交渉を行うことなどできない。だから合同労組のような形態はありえない。
他にいくつも違いがあるので韓国の労働法制改悪の歴史を学ぶのは韓国の労働運動を理解するうえで極めて重要な点である。それは我々自身の弱点を知る上でも極めて教訓的である。
更に韓国の労働運動を学ぶ上で①1970年のチョンテイルの闘いの持っている歴史的意味、②1987年の大闘争と呼ばれる闘いの意味、③1995年の民主労総結成と97年ゼネスト。この3点に焦点を当てるとわかりやすいのではないかというのが私の立場である。この3つの視点を縦軸にして、労働法制改悪の歴史を編み込んでとらえることに本稿の目的がある。韓国の労働法制改悪は今回の朴槿恵の攻撃を含めて過去4回あるというのが民主労総ソンホジュン事務処長の見解である。11・2の理念交流での民主労総ソウル本部ソンホジュン事務処長の提起のポイントは以下の点である。
「韓国の労働法改悪は4回ほど数えられる。第1回目は98年のキムテジュン政権によって行われた解雇制度の導入。経営上の理由により解雇をできる整理解雇制が金大中によって導入された。2番目は2006年。ノムヒョン政権の時に派遣労働者などの非正規職の導入。これから非正規が増える。3番目が2011年のイミョンバク政権の時に「複数労働組合設立の解禁と交渉窓口の単一化」が導入された。労働組合の専従に対しては会社から賃金が保障されていたが、イミョンバク政権の時代に廃止され、時間内組合活動が制限された。一連の労働組合に対する攻勢が続けられてきた。
さて2015年韓国における新自由主義的労働改悪をグレードアップするために法制度の改悪を行おうとしている。現在行われている朴槿恵の労働改悪は決定版であり労働組合を完全に無力化する攻撃です。したがって民主労総は資本と政権の労働法制に対して組織の死活をかけた戦いを準備しています。」(11・2理念交流提起より)
韓国の労働法、労働法制全般、さらに労働運動の歴史を学ぶ場合、労働法や労働現場の問題だけを時の政治体制と切り離してとらえることはできない。韓国の場合は日帝が植民地支配した歴史があり、1945年の解放後米軍政支配の時代が続く。朝鮮半島に統一国家を打ち立てようとする民衆の闘いは1948年の5・10選挙反対闘争として爆発し、済州道で「4・3抗争」が闘われ、さらに朝鮮戦争があり、1960年4・19革命、1961年5・16の朴正煕の軍事クーデター以来の軍事独裁体制。1979年8月9日にYH貿易の労働者が野党親民党の本部を占拠して籠城闘争に入り、朴正煕はその籠城闘争を強制的に鎮圧する。その時にその時にキム・ギョンスクさんが謎の死を遂げている。続いて釜山と馬山で労働者の決起があり、朴政権内部で内紛が起きて朴正煕は自らの懐刀によって射殺された。それが1979年10・9であり、その後全斗煥が12・12軍事クーデターで権力を掌握する。それに抗して闘い抜かれたのが1980年の光州蜂起であり、光州民衆を虐殺し、全斗煥軍事独裁体制が敷かれる。その軍事独裁政権を打倒する1987年の大闘争があったのだ。
2015年の11・14を頂点とするハンサンギュン委員長の下での数波のゼネストはこの1987年大闘争以来の朝鮮革命を現実に手繰り寄せる闘いであり、作戦計画5015計画をゼネストで粉砕する闘いである。先制攻撃、核戦争を止める力は民主労総のようにゼネストで闘うことだ。世界の労働者が民主労総のように闘うことができれば戦争を止めることができる。11・13のパリの襲撃事件と民主労総の闘いはまさに対極にある。国際連帯で闘い抜こう! 民主労総の闘いの歴史から学びとろう!

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1、全泰壱(チョンテイル)の決起

2、1987年の労働者大闘争

3、金大中政権による整理解雇制導入、派遣法導入

4、民主労総の結成とゼネスト

5、李明博政権の労働法制改悪との闘い

6、朴槿恵の労働法制改悪攻撃

結語

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戦争法と労働法制全面改悪は一体の攻撃

戦争法と労働法制全面改悪は一体の攻撃

戦争法と労働法制全面改悪は一体の攻撃

竹中平蔵が積極推進した「生活困窮者自立支援法」と「外国人家事支援人材の活用」

合同・一般労働組合全国協議会事務局長 小泉義秀

はじめに

①残業代ゼロ法案②「企画業務型」裁量労働制の拡大③労働者派遣法改悪④解雇の金銭解決制度

が 今国会で審議されていることは広く知られている。しかし「生活困窮者自立支援法」という法律が2年にも前に成立し、今年の4月1日から施行していることに ついてはあまり知られていない。7月8日に「外国人家事支援人材の活用」が参院本会議で可決・成立したことについても全国協ニュース86号三面を読むまで 知らなかった人も多いのではないだろうか。

安倍の戦後レジームからの脱却というのは改憲・戦争法案にとどまらず、全面的である。特に労働法 制の全面改悪に核心がある。全労働者を非正規に叩き込み、生きていけない低賃金・労働条件で使い捨てにしていく。非正規で生きていけない青年労働者が「経 済的徴兵」で戦争に動員される。それをUAゼンセン逢見などの輩を使って推進しようというのだ。UAゼンセンを先頭に産業報国会化をめざし、労働者を戦争 に動員していこうとするのが安倍であり逢見だ。したがって労働法制の全面改悪と闘い、職場生産点から反撃し、階級的労働組合を甦らせることが絶対に必要 だ。戦争法案を廃案にするために国会前、街頭・職場で闘おう! 労働者の怒りは地に満ち満ちている。戦争法を衆院で再議決させないで廃案に追い込むことは 可能だ。戦争法案もろとも安倍を打倒する絶好の機会が来たのだ。合同・一般労働組合全国協議会が動労総連合建設の先頭に立とう! 全国協1000名の隊列 を実現しよう! 8・5-6広島の産別交流集会を組織拡大総決起集会として実現し、10月10日の全国協第7回大会の成功をかちとろう!

講演-「労働者派遣法改正の問題点」(「4・26労働者総決起集会」-さいたま)

2014年4月26日 「4・26労働者総決起集会」(共催:JAM神奈川ジェコー労働組合、一般合同労組さいたまユニオン/協力:埼玉労組交流センター【東大宮コミュニティーセンター】)で開催された集会での講演内容です。

「4・26労働者総決起集会」「労働者派遣法改正の問題点」講演

合同・一般労働組合全国協議会事務局長 小泉義秀

講演内容

1、全労働者を非正規化することを成長戦略の突破口とする安倍政権を打倒しよう
2、国家戦略特区を突破口に全面的な労働法制改悪を目論む安倍政権
消費税と非正規雇用の関係
派遣労働者を3年で首にする改悪
●有期労働契約の無期転換を10年に
●国家戦略特区攻撃
●地公法改悪攻撃
●限定正社員制度の本格的導入
●「労働時間法制の見直し」
●研修生・実習生制度の3年から5年への延長を画策
3、偽装請負を合法化する動き―派遣法そのものを葬りさる非正規職撤廃の闘い

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2014年4月25日、5年前の4月(2009年、2008年には高橋組合員)ジェコーで働く期間従業員92名全員が解雇されました。5年目の当日、ジェコー門前から工場を一周するデモと門前での抗議行動をおこなう。(主催:JAM神奈川ジェコー労働組合)

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会社への怒りと勝利まで闘いぬく決意を表明する武田委員長と組合員と支援の労組と労働者(4月25日)

 

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会社を一周するデモの先頭で解雇撤回まで闘いつづける決意を読み上げる組合員とデモの隊列(4月25日)