技能・実習制度改悪=2年延長を許すな!奴隷労働をやめよ!制度そのものを解体せよ!

 

外国人技能・実習生制度、難民認定制度そのものが間違い

 昨年末から読売新聞紙上で難民申請問題と外国人技能・実習生問題関連の記事が書かれはじめ、2月に入り「難民偽装」という特集が組まれている。

「難民申請急増 就労目的か 生活支援『悪用』今年最多3600件 法務省、是正へ」(2014年10月18日)「(社説) 難民受け入れ『冷たい日本』続けるな(2015年1月23日)「難民申請偽装を指南 ネパール人摘発 就労制度を悪用」(2月4日)、「申請ウソでも受理 難民偽装」「摘発の男 100人指南 『手続きに従った』供述」(同)「実習先を逃亡 難民申請」「ブローカー指南 高い収入求め」「実習生申請4年で10倍」「難民偽装で『賃金3倍』「人手不足 企業も依存」「逃亡後に『転職』」(2月6日)「ミャンマー33人 難民申請」「偽装問題 実習先を逃亡後」「来日1年全員逃亡 『東京で稼ぐ』難民申請 ミャンマー実習生 当初から計画か 茨城の実習先」(2月7日)「複数ブローカー暗躍(難民偽装1)『日本で仕事』ネパール人急増」(2月11日)「社説 技能実習制度の活用は疑問だ」(2月12日)「実収生 生活費2万円 『我慢限界』逃げ出し申請(難民偽装2)」(2月12日)「外国人集め 裏ビジネス 『派遣すれば3ヶ月500万円』(難民偽装3)(2月13日)「労働力 外国人頼み『いなければ工場止まる』(難民偽装4)「制度改正 見通し甘く」「申請急増『就労制限の検討も(難民偽装5』(2月15日)

 見出しを羅列しただけでも概要は伝わってくる。上記特集記事の内容についてポイントを押さえたい。

日本においては毎年3000件を超す難民申請があり、2014年は5000件を超えた。2013年の難民認定者は6人だったようにほとんど難民として認めない立場を日本政府はとっている。しかし2010年3月に難民認定制度が改正されて正規滞在の外国人であれば、審査結果が出るまで合法的に働けるようになった。いわゆる「現行の制度では、難民に認定されなくても、異議申し立てや再申請を繰り返せば、合法で就労することも可能だ」(前掲10・18読売)と書いている。しかし「牛久入管収容所問題を考える会」の田中喜美子さんからの指摘によれば『読売』の記事は間違っているという。記者が問題を理解しないで書いたのか、故意に書いたかは不明であるが、難民申請を繰り返し、いつまでも特定のビザがあり合法的に仕事が出来るかのような表現は間違いである。難民申請が却下され、異議申し立てをして、それが却下となると次の難民申請時は「仮放免」者なので正式には仕事は出来ない。クルド人の中にも特定の難民申請中ビザから仮放免になった人が徐々に出てきている。仮放免者の3回目ぐらいからの難民申請は入管担当窓口で受け付けなくなっている。(本来は現在の法令上何回でも申請は可能のはずにもかかわらず、回数制限を言い出している)申請中は「強制退去」は執行されないが、申請拒否、強制退去ということはありうるのである。

しかし上記『読売』記事のような間違った事実でもそれが伝わると短期のビザで来日し、難民申請をして半年後から就労するケースが増えている。また外国人技能・実習生が「逃亡」して難民申請をして、技能・実習生の時の3倍の賃金を得て就労しているという。これは深刻な迫害から日本に逃げてきた「難民」ではなく、初めから就労を目的にしているから『難民偽装』だと「読売」はいうのである。この「難民偽装」を指南するネパール人が摘発され、この人物は100人の難民偽装を指南し、外国人を派遣すれば月500万儲かるという。

「昨年11月、入国管理当局が入管難民法違反(不法就労助長)容疑で摘発したネパール人ブローカーの男(30)も来日したネパール人らに難民申請を指南し、人手不足に悩む栃木県内の家電製造工場に送り込んでいた。この工場で働く外国人は昨年9月現在で約430人。『難民申請者がいなくなれば日本の工場は止まってしまう』。同工場に外国人を派遣していた人材派遣会社の社長はそう語った」(前掲 難民偽装4』)とあるように難民申請者や外国人技能・実習制度による外国人労働力を用いないと農業も工場も成り立たない構造になっている。長野の友人からのメールによればレタスの収穫は午前3時から行われ、技能・実習生がそれを担っていて、彼らがいなくなxったら農業が成り立たないという。

2010年3月の難民申請後6ヶ月を経れば合法的に働けるようになった法改正が甘かったと法務省幹部が述べているという。しかし、この点についても「牛久入管収容所問題を考える会」の田中喜美子さんは次のように指摘している。いわゆる難民申請者がだれでも特定のビザ(難民申請中)がもらえるわけではない。仮放免者は難民申請者でも特定ビザは出ない。また「法改正」ではなく、法務省の内部通達で出されたものだ。2010年頃より、難民申請者が増加しすぎ、1次審査、異議の審査(参与員)が間にあわないのだ。それ以前も公にはされていなかったが難民申請中のビザの方が(入国即・難民申請をしたもの)は仕事も保険もOK(在留カード適用者)だった。ただし同じように入国、すぐ難民申請をしても「仮滞在」となった人は保険には入れたが=在留カード適応者でも仕事は出来ない。短期滞在で無事入国できればすぐに難民申請をすれば6ヶ月の更新の特定ビザがもらえる、仕事も出来ると言う情報はいろんな国にすぐに伝わるが現実はそうではないのだ。

いずれにしても、在留カード制は差別と分断による支配の論理に貫かれている。例えば、在日の特別永住者が韓国籍か朝鮮半島出身かで様々な差別があるように、同じ様に出身母国での迫害を理由に難民申請をしても成田で「入国拒否になり上陸防止施設から退令が出て収容所に送られるケースがある。そうして長期の収容後、仮放免中の難民申請者が急増しているのである。成田で「短期ビザ(観光目的、親族訪問など)で入国しその後品川で難民申請をして、3ヶ月更新の「仮滞在ビザ」を得ることはできる。在留カード適用で保険には入れるが(公式には)仕事は出来ない。当然難民申請却下後は仮放免で無権利状態になる。短期滞在で無事入国、その後品川で難民申請をし、難民申請中の6ヶ月更新の特定ビザ、在留カード摘要で、6ヶ月後とも言わず、即、仕事をしている人もいる。他の仮放免者からは妬まれている。ただし、難民審査、異議申し立てとも却下されれば仮放免の無権利状態になる。こういう人が今後激増することが予想される。こういう外国人労働者が日本の様々なところで、なくてはならない労働の担い手として存在しているのだ。1970年代後半からの世界、新自由主義経済の中で人も資本も国境を越える、その中で入管法・難民認定法は基本としての「外国人の管理」政策を貫くものとして様々な変化も余儀なくされている。人々は生きんがためにあらゆる制約をこじ開けぶち破りそこに存在し続けるのだ。国際的な労働者の団結・連帯が問われている。

技能・実習生制度は曽野綾子のいうアパルトヘイトの現実そのもの

 曽野綾子は労働力不足のために介護労働者を日本に出稼ぎに来させて、定住させないで南アフリカノアパルトヘイトと同じように居住区も別扱いにして利用しろという論を産経新聞に書き、批判されると開き直った。安倍政権が進めようとしている外国人労働力の利用論も曽野綾子と同じであり、技能・実習生制度は曽野綾子のアパルトヘイトの先取りなのだ。技能・実習生制度はまさに近江絹糸(※)以上の人権侵害であり、労働組合に接触させないためにあらゆる手立てを弄している。このような制度は廃絶あるのみである。「難民偽装」というが難民を認めない日本政府・入管が不当であり、在留カードの区別・差別により就労の機会を奪っているところに根本問題がある。労働力不足は新自由主義による外注化・非正規化により青年労働者の就職先が無い、結婚もできない、子供も作ることができない中で生じていることであり、新自由主義の破産がもたらしたものだ。難民申請しているような外国人労働者や技能・実習生制度を用いて低賃金の外国人労働者を雇わないと日本の農業も、零細企業も成り立たない現実に新自由主義がある。その時に難民偽装を非難したり、合法的なよりましな技能・実習生制度を行えという立場に立つことは日本帝国主義をどうにかして立て直そうという日帝と同じ立場に立つことにしかならない。それはあくまで労働者を非正規に叩き込み、奴隷労働を強制していくことにしかならない。こういう体制を守るために中東侵略戦争が開始され、全面的な世界戦争に突入しようとしているのだ。そのための安保法制の改悪、解釈改憲―明文改憲に直進しているのが安倍だ。残業代ゼロ法案・派遣法改悪などの労働法制の全面改革も戦争政策と一体であり、技能・実習生制度改悪もその一環である。

 「国立社会保障・人口問題研究所」(略称 社人研)は2013年時点で1億2730万人の総人口は2030年には85万人減って1億1162万人、2060年には8674万人、2110年には4286万人になると予測している。【経済財政諮問会議専門調査会「選択する未来」委員会『未来への選択』(201411)『「豊かで活力ある日本」の再生』(日本経団連2015・1・1発行)82頁より孫引き】

 しかし経団連は2030年には合計特殊出生率を2・07%まで上げて50年後も1億人の総人口を維持すると夢想している。しかし労働者を全部非正規にして出生率が2・07%になることは無い。今のままだと社人研の予測の事態になる。しかしこの数字は両方ありえない。世界戦争か革命かのどちらかの事態の中でこの予測は意味のないものになっているはずだ。

東京オリンピックのために技能・実習生制度を変えようとしている

 2014年11月10日に「第1回技能実習生制度の見直しに関する法務省、厚生労働省合同有識者懇談会」が開催され、高裁の会議室で2時間の議論が為され、そこに幾つもの参考資料が提出されている。以下の資料はそこに提出されたものであり、厚生労働省のホームページで公開されている。

 有識者懇談会の委員には連合の幹部が名前を連ねている。板垣恒子(全日本電気・電子・情報関連産業労働組合連合会 書記次長)、新谷信幸(日本労働組合総連合会 常任中央委員・総合労働局長)、高倉明(全日本自動車産業労働組合総連合会副会長)、豊島栄三郎(国公関連労働組合連合会副委員長)の4人である。14人の委員のうち4人も連合幹部が占めて、「技能実習生制度」の改悪に手を染めているのだ。

 この会議の目的は「新たな法律に基づく制度管理運用機関の設置など、管理監督の在り方を年内を目途に抜本的に見直し、2015年度中の新制度への移行を目指す」とともに、実習期間の延長や受入れ枠の拡大について、「2015年度中の施行に向けて、所要の制度的措置を講ずる」こと等とされている。本年中に一気に研修生・実習生制度を改悪しようというのだ。

 技能・実習生制度の改悪の結論は①現行の68業種に制限されている職種を拡大するということ。②現行3年の実習期間を5年に延長するということ。この場合、3年後も継続して期間を延長する場合と、一旦帰国してから再び来日して2年間実習を認めるというものの二つのケースを想定している。③2015年度中に法改正・施行を目指し、2020年でその制度を打ち切るというものだ。④特別に制限を緩めて最優先で実施しようとしているのは建設関連の業種である。研修・実習、技術の海外移転などは名目に過ぎず、2020年の東京オリンピックのために建設労働者を、技能研修制度を使って確保しようとする露骨な奴隷労働の強制に過ぎない。

安倍政権は「外国人技能実習制度」に介護分野を加える方針

 EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者の受け入れは「二国間」の経済連携強化の観点から外国人の就労を特別に認めたもので、日本ではインドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヶ国と協定を結び、インドネシアは2008年から、フィリピンは2009年から、ベトナムは昨年から候補者を受け入れている。国家試験を受験して受かれば就労できるが、試験に落ちて資格が取得できなければ帰国しなければならない。在留期間は資格取得までは4年間、取得後は3年間で更新は可能だ。しかし介護福祉士の試験は簡単ではない。2012年度の外国人介護福祉士の国家試験合格率はインドネシア=46・7%、フィリピン=30・4%。合計39・8%で日本人を含む全体の合格率は63・9%だ。2013年度はインドネシア=43%、フィリピン=29・6%であり、全体では36・3%。日本人を含めると64・6%である(2・27付「週刊朝日」19頁)。試験の難しさと介護職場で外国人が働く困難さの中でEPA(経済連携協定)の下での受け入れ人数は帰国者も含めた延べ人数で2008年以来約1500人にとどまり、介護現場の人で不足が解消したわけではない。

 そこで安倍政権の日本再興戦略の一環として「外国技能実習制度」の新たな枠に介護職を広げようというのである。その場合日本語能力試験についてEPA枠の場合はN3の語学力が必要とされていたが、技能・実習制度の場合はN4で良いとされる。日本語能力試験にはN1~N5まであり、N1が「幅広い場面で使われる日本語を理解することができる」ランクであり、N3は「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」とあり、N4は「基本的な日本語を理解することができる」となっている(同上)。介護は人相手であり、介護保険法の運営基準ではサービス内容の記録が要件としてあり、内容がひどい時には事業者の取り消しもありうる。したがってEPA枠ではN3レベルが要求されるのであるが、技能・実習制度はN4で良いというのである。しかしEPA枠の場合4年間で資格を取得してその後3年働くことができ、更新も可能というのに対して、介護の技能・実習制度の場合は最長5年として、更新不可がその計画案だ。やっと仕事を覚えてこれからという時に帰国させられることになる。これでは事故が起きるのは不可避であり、どう見ても一時しのぎの使い捨て労働力として制度を悪用しようとするものだ。

 技能・実習生制度を使っての介護植の導入は、EPAに基づく介護費駆使し候補者の受け入れとは全く違う現場になる。例えば「読売」でも書かれていたがネパールの女性が農業分野の技能実習生で来日したがネパールの気象条件とは全く異なる沖縄のサトウキビ農家で働かさせられたように、介護職の分野できつい、汚いといわれる仕事に就かされることになる

技能実習生制度の全体像

 日本で就労する外国人労働者の総数は約71・8万人である。内技能・実習生は約13・7万人。技能・実習生制度は1993年に創設され、2010年7月に現行制度に改正された。2010年改正の最大の特徴は、それまでの研修生・実習生制度は1年目は労働基準法・最低賃金法等日本の労働法規が外国人研修生に適用されていなかったものを1年目から労働法規が適用できるように変えたことだ。2010年2月までは、研修期間だからという名目で6~7万の低賃金で就労させていたのである。これが米国などから奴隷労働・人身売買と批判され、現実に種々の問題が生じて2010年の改正で研修期間が2ヶ月となり、3ヶ月目からは技能実習生として日本の労働法規の適用を受けることになった。この点が最大の改正点である。

 技能実習生制度には2つのタイプがあり、一つは「企業単独型」といって日本の企業が海外の現地法人や合弁企業の職員を受け入れて日本の企業で技能・実習を行う制度だ。このタイプに関しては労基法違反等の事例は無い。もう一つが「団体管理型」と呼ばれる制度でこの管理団体とその傘下の実習実施機関=受け入れ企業においては双方で不正が行われ、摘発されている。この「団体管理型」の場合、「送り出し機関」が中国・ベトナム・ネパールなどのそれぞれの国に存在していて、保証金を支払い、金で縛られて日本に来るケースが多々ある。中国の場合、送り出し機関が国家機関そのものであり、それが不正に補償金をとっている場合もある。送り出し機関と日本の「管理団体」が同一の人物によるケースもあるのだ。同一人物が補償金をとって金で縛り、日本で働かせることにより奴隷労働・人身売買的な搾取関係が生じるのである。特に建設関連については本年4月1日から施行する計画が進行している。2020年の東京オリンピックだけのために2020年まで技能実習生制度を使って外国人労働者を搾取し、そのあとは放り出す魂胆だ。

 技能実習生の職種は2014年現在では68職種126作業に限定されている。2ヶ月の研修期間を終えて3ヶ月目からの技能実習を「技能実習1号」といい、2年目以降の技能実習を「技能実習2号」という。

 2013年末の技能実習生の数は155214人であり、技能実習2号への移行者数は48792人である。職種は①繊維・衣服関係②機械・金属関係③食品製造関係の順に多い。受け入れ国は①中国(69・1%)②ベトナム(13・9%)③フィリピン(6・5%)④インドネシア(6・5%)となっている。団体管理型の受け入れが95・8%で実習実施機関の半数以上が従業員19人以下の零細企業である。性別で言うと女性が6割を占め、20~25歳が多い。

 技能・実習生のアンケート調査によると保証金を預けたと答えた人が2008年には30・8%だったものが、2013年には15・9%に減っている。保証金等は無いという答えは2008年が62・7%だったものが、2013年には76・9%となっている。他方保証金の返還については2008年において78・7%が全部返還されたとあるのに、2013年にはその数字が61・7%に減っている。一部返還は2008年が7・7%だったのが2013年は16・4%となっている。全く返還されなかったという数字が2008年は8・3%だったものが、2013年には15・7%に増えている。禁止事項として①携帯電話の使用禁止②研修生・実習生のみの外出禁止③インターネットの使用禁止④他の研修生・実習生との交流の禁止➄パスポートの取り上げ⑥預金通帳の取り上げ⑦母国語の新聞の閲読禁止という人権無視も甚だしい禁止条項があるところが存在している。いずれも労働組合と接触させない、実習生同士が連絡しあい、情報交換をして団結をすることを恐れたものだ。

 技能実習生の受け入れ特例の人数には制限があり、企業単独型も団体管理型も実習実施機関の職員の総数が301人以上の所は常勤職員総数の20分の1、201人以上300人以下が15人。101人以上200人以下は10人、50人以下は3人となっている。この制限人数を増やす方向で改悪が進められている。

技能実習生の賃金・労基法違反等の具体例

「技能実習生制度に関する基礎資料」(資料3)によれば出入国管理機関による技能実習生受け入れ団体・企業に対する不正行為認定機関数で一番多い職種は総計210機関のうち農業・漁業関係の79である。次に多いのが繊維・被服関係であり、75を占める。企業単独型の違反はなく、すべて実習実施機関(91・3%)と管理団体(8・7%)における不正である。違反内容―違反事業場数(違反率)で一番多いのが労働安全衛生関係の1142(49・3%)、労働時間(労働基準法32条違反)が692(29・9%)、割増賃金不払い(労働基準法第37条)463(20・0%)、賃金不払い(労働基準法24条)272(11・7%)となっている。

 2014年5月に入国管理局が「広報資料」として発表した2014年の「不正行為」の概要は以下のようなものである。

 2013年に「不正行為」を通知した機関は230機関であり,同機関数が最も多かった2008年の452機関と比較すると49・1%の減少となっているが,平成2012年の197機関と比較すると16・8%の増加,2011年184機関と比較すると25・0%の増加となっており,現行制度が施行された2010年以降の推移としては,漸増傾向にある。2013年に「不正行為」を通知した機関は,全て団体監理型での受入れによるもので,受入れ機関別では,監理団体が20機関(8・7%)実習実施機関が210機関(91・3%)である。

 2013年に「不正行為」を通知した230機関について,類型別に見た通知件数は366件である(一つの機関に対して複薮の類型により「不正行為」を通知する場合があるため,「不正行為」を通知した機関数と類型別の件数とは一致しない)賃金の不払等の労働関係法令違反が124件33・9%)と最も多く,次いで,技能実習計画との齟齬が87件(23・8%)講習期問中の業務への従事が79件(21・6%)と続いている。

臨検事例1  臨検監督により、割増賃金の不足額が支払われた事例(以下全て2013年)

臨検監督を実施した際、技能実習生が自身のノートに記録していた時間外労働時間数と事業主が賃金台帳に記録していた時間外労働時間数との間に齟齬が認められた。このため、労働時間の把握方法について調査した結果、1時間当たりの賃金額が最低賃金額を下回る700円で賃金が計算されていたこと、時間外労働の割増賃金を法定の計算通りに支払っていないことが明らかとなった。事業主に対し是正するよう勧告し、その結果、技能実習生7名に対して、割増賃金等の不足額合計約250万円が支払われた。

臨検事例2  実習実施機関における法違反を是正させ、監理団体に対する指導も行った事例

ある監理団体傘下の実習実施機関2事業場に対し臨検監督を実施したところ、2事業場とも時間外労働の割増賃金を、法定以下の1時間当たり400円しか支払っていないなどの労働基準関係法令違反が認められた。このため、この2事業場に対し、それぞれ是正するよう勧告した。その結果、2事業場について時間外労働の割増賃金の不足額が支払われた。

申告処理事例1 縫製業の事業場で就労している技能実習生から、時間外労働の割増賃金が不足していることについて、申告がなされた事例

 時間外労働の割増賃金が適正に支払われていないとする技能実習生からの申告を受け、夜問も含め複数回にわたる臨検監督を実施した。調査の結果、①約定賃金額が最低賃金額未満であったこと、②時間外労働の割増賃金額を、法定以下の1時間当たり350円しか支払っていなかったこと、③月6万円の強制貯金を行っていたこと等が明らかとなった。このため、最低賃金法第4条(最低賃金の効力 )違反、労働基準法第37(割増賃金)違反、労働基準法第18(強制貯金)違反等について、事業主に対し是正するよう勧告した。その結果、技能実習生16名に対して、貯蓄金の返還と賃金の不足額を合わせた合討約1, 600万円が支払われた。

申告処理事例2 縫製業の事業場で就労している技能実習生から、時間外労働の割増賃金が不足していることについて、申告がなされた事例

 時間外労働の割増賃金が適正に支払われていないとする技能実習生からの申告を受け、臨検監督を実施した。事業主は、当初、時間外労働・休日労働の割増賃金を適正に支払っている旨申し立てたが、調査の結果、実際には割増賃金額を、法定以下の1時間当たり550円しか支払っていなかったことが明らかとなった。このため、労働基準法第37条倒増賃金違反について、事業主に対し是正するよう勧告した。その結果、技能実習生3名に対して、割増賃金の不足額合計約300万円が支払われた。

送検事例1 縫製業を営む個人事業主Aを、労働基準法違反及び最低賃金法違反の疑いで、また監理団体役員Xを共犯の疑いで送検した事例

技能実習生からの申告に基づき臨検監督を行った結果、約定賃金額が最低賃金額を下回り、時間外労働の割増賃金の支払額も不足していたことが明らかとなったため、労働基準去第37(割増賃金)違反、最低賃金法第4(最低賃金の効力)違反について、個人事業主Aに対し是正するよう勧告した。しかし、是正期日を過ぎても是正されないことから、悪質と判断し、個人事業主Aを送検した。また、毎月の賃金額及び割増賃金額の決定に当たり、監理団体の関与が疑われたことから、同監理団体役員Xを共犯で送検した。

送検事例2 食肉加工業を営むB社及びB社代表取締役Cを、労働基準法違反の疑いで送検した事例

 技能実習生5名に対し、時間外、深夜及び休日労働を行わせたにもかかわらず、法定で支払われるべき割増賃金額を支払っていなかった。さらに、臨検監督時に労働基準監督官に対して、偽造したタイムカードを提示し、虚偽の陳述(説明)を行ったことから、悪質と判断し、B社及びB社代表取締役Cを送検した。

送検事例3 水産食料品製造業を営むD社及びD社代表取締役Eを、労働基準法違反の疑いで送検した事例

 入国管理局からの通報に基づき臨検監督を実施したところ、技能実習生を含む労働者11名に対し、1週間について40時間を超えて延べ76(最大37時間)1日について8時間を超えて延べ519(最大5時間)にわたる長時間の時間外労働を行わせていた。事業主が、時間外労働・休日労働に関する協定を適正に締結せず、さらに、労働時間の記録を改ざんしていたため、悪質と判断し、D社及びD社代表取締役Eを送検した。

別事例1 農業を営む実習実施機関は,技能実習生のトラブルを理由に送出し機関の指示に従い,技能実習生の旅券及び在留カード(旧外国人登録証明書)を取上げて返却しなかった。

事例2 縫製業を営む実習実施機関は,技能実習生2名に対し,約19か月にわたり,技能実習生の賃金から国民健康保険料・国民年金保険料の名目でそれらの保険料相当額を違法に控除し,賃金を支払っていなかったものであり,未払の総額は約6 3万円, 11か月当たりに換算すると約1万5000円であった。

事例3 監理同体は,技能実習生の日常生活や技能実習に係る禁止事項及び当該禁止事項に違反した場合の点数を規則として定め,一定の点数に達すると帰国させるなどとしていたところ,傘下実習実施機関はその禁止事項に従って技能実習生からパゾコンを取り上げて,罰金を徴収するなど技能実習生の私生活上の権利・利益を侵害する行為を行った。

事例4  婦人服縫製業を営む実習実施機関は,受け入れた技能実習生4名に対し,通算2 4か月間のほとんどの月において,協定で定める限度時間を超える100時間以上の時間外労働を桁わせていた。

結語

 以上の違反事例を見ると実態が良くわかる。技能・実習生制度の本質は基本的に変わっていない。2010年改正で1年目から日本の労働法制が外国人技能・実習生にも適用されるようになったのは「改善」ではある。しかし、ジャーナリストの安田浩一さんの著作や週刊誌・新聞などの談話で指摘されているように、名目上の最低賃金が支払われたとしても、そこから高くされた部屋代や食事代、あるいはテレビ使用料、電気代などを差し引かれて、結局最賃以下の研修生時代の賃金とほとんど変わらない低賃金が続いている。上記の労基法違反のように種々の違反は氷山の一角に過ぎないことは日本の労働者に対する違反を見れば明らかだ。労基法違反の臨検・摘発は全国の労基署において相当のばらつきがあり、労基法違反を容認しているところが多々ある。茨城県常総労基署は小竹運輸グループの管轄であるが、ひどい対応しかしない。罰則の強化、違反の取り締まりの徹底等で問題は解決できないのである。制度そのものを廃絶する以外にない。技能・実習生を逃亡して難民申請して3倍の賃金をとっているとの「読売」報道があった。しかし手取り5~6万円の賃金が15~6万円になっただけだ。それでも賃金の高い方を選択していくのは当然のことだ。技能・実習生制度は低賃金で奴隷のようにこき使うことが目的であり、そうであるなら「逃亡」して賃金の高いところで働く法が良いに決まっている。それでも15~6万円しか稼げない。技能・実習生の賃金は12万平均である。どうしてこれが日本の労働者の賃金と同じだといえるのか。中卒の初任給よりも安いのである。2020年東京オリンピックのために建設部門に技能・実習制度を2年延長して労働力を利用して使い、その後はお払い箱にしてしまうやり方は絶対に許せない。

制度そのものを解体せよ! 難民申請者を認め外国人労働者を正規の形で雇え! 合同・一般労働組合全国協議会は彼らと連帯し、労働組合として団結し、国際連帯で闘い、世界戦争を阻止し、世界革命を実現する。(了)

1954年に起きた人権争議といわれた近江絹糸の争議は、親書の開封・検閲、結婚の禁止、自由な外出禁止等々の非人間的な処遇に対して闘われた歴史的争議であり、全繊同盟の指導ではなく、全繊同盟の和解案を乗り越えて、当該が105日間のストライキを闘いぬいて勝利したことに意味がある。

韓国でも以下のようなことが起きている。「韓国で04年、曰本の実習生に相当する『産業研修生』の人権が守られていないとの声が高まり、「雇用許可制度」を導入した。外国人の単純労働者を正面から受け入れることが可能になり、3年の届用期間はその後、5年、9年と段階的に延長された。制度は韓国経済の発展に寄与した面もあるが、期間満了後に帰国せず、不法滞在したり難民申請したりする労働者が後を絶たない。現在の不法滞在者約18万人の約3割が許可制度で受け入れた外国人。13年の難民申請者も1574人と04年の10倍に達している」(前掲 難民偽装5)