2月10日、東京新聞記事 「解雇」なのに「自己都合」扱い 失業給付が大幅カット を紹介します。

 2月10日の東京新聞の記事を紹介します。

 

<はたらく>「解雇」なのに「自己都合」扱い 失業給付が大幅カット

2012年2月10日

 自己都合の退職かどうかをめぐるトラブルが後を絶たない。自己都合だと、雇用保険の失業給付が大幅にカットされるからだ。中部地方の元地方公務員の男性は、自己都合かどうかで自治体側と争い、申請が遅れたため全期間分もらえず、二重の減額となった。退職の際は、離職理由の確認を忘れないようにしたい。 (稲田雅文)

 「事実上の解雇だったと思う」。中部地方の自治体で再任用職員として勤め、二〇一〇年三月に退職した六十代の男性は言う。

 〇九年三月に定年退職し、〇九年度は一年契約で働いた。一〇年度も契約更新を望んでいたが、一〇年二月、胆石の手術を受けた際、医師から「がん細胞が見つかった。検査したい」と告げられた。

 うろたえた男性は年度末で最も忙しい時期と分かっていたが、三月下旬に検査を予約した。翌日、上司に半日休暇を申し出ると「検査を延期するか、辞めてください」と言われたという。不本意だったが、退職手続きを進めた。

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 雇用保険の失業給付を受けるためには、事業主が発行する「離職票」がいる。男性は、退職後に届いた離職票を見て驚いた。離職理由が自己都合とされていた。その上、離職者がこの理由への異議の有無を書く欄には、勝手に「なし」とされ、別人の筆跡で自分の名前が署名され、印鑑まで押されていた。

 違法行為ではないかと感じ、離職票が証拠になると思って手元に保存したため、失業給付の申請手続きが遅れた。結局、八カ月後に申請し、自己都合として百五十日間の給付が認められた。しかし、失業給付が受けられるのは、退職の翌日から一年間という決まりがあるため、期限切れで四十八日分の給付が受けられなかった。もし、会社都合の離職だった場合、この男性の年齢と在職年数では二百四十日間の給付が認められ、退職後間もなく支給が開始されるため、離職理由による差は大きい=図。

 この自治体は取材に対し「離職を強制した事実はない」とし、署名押印をしたのは「ハローワークへの提出期限が迫り、失業給付金の受給に支障が生じないよう、署名の代行をした」と説明する。

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 「失業給付の受給が遅れないようにと、担当者が悪気なく事後承諾で署名を代行してしまったのだろうが、やってはいけないこと。このケースの場合は、職場にいるうちに本人に署名してもらうべきだったのでは」と話すのは愛知県社会保険労務士会の担当者。「事業主との交渉が嫌なら、ハローワークで事情を説明すれば、救済される場合もある」と速やかな相談を勧める。

 実態は会社都合の離職でも、書類で自己都合とされてしまうケースは多い。公的な補助金を受ける民間の事業主の場合、会社都合の離職者がないことが条件とされるためだ。

 書類上で自己都合となっていても、ハローワークで雇用保険の「特定受給資格者」や「特定理由離職者」と認定されれば、会社都合と同じ給付金がもらえる。セクハラやパワハラを受けたり、「君のポストはない」などと間接的に退職勧奨を受けて辞める状況に追い込まれたりした人が特定受給資格者。非正規労働者の雇い止めのほか、病気や介護、育児などによる離職が特定理由離職者だ。

 「何よりも離職票の離職理由をしっかり確認することが泣き寝入りしないためにも大切」と呼び掛ける。

 離職票と離職理由 雇用保険の申請に必要になる書類で、退職後、会社からもらう。退職に至った経緯が記され、ハローワークが解雇など事業主側の原因で退職する「会社都合」か、労働者の意思で辞める「自己都合」かを審査する。自己都合の場合、退職から3カ月間、失業給付金が出ないほか、会社都合に比べて給付日数が少なくなり、額が大幅に少なくなる。