4月19日東京新聞記事を掲載します。嘱託社員雇い止めに、労組を結成し団体交渉。ハウス食品が「店舗フォロー」を外部委託

<はたらく>嘱託社員雇い止めに 労組を結成し団体交渉

2013年4月19日

 

営業車の前で一日の仕事が終わったことを携帯電話のメールで報告した女性。直行直帰の働き方が基本だ=関東地方で

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 ハウス食品で、スーパーを巡回して店頭に並ぶ商品の補充などを手助けする「店舗フォロー業務」を担ってきた全国の非正規の社員八十九人が、突然半年後の雇い止めを通告された。同社がその業務を外部委託する経営判断をしたためだ。しかし、二十年以上契約を更新して働く人もおり、一部の人は「使い捨ては許さない」と、労働組合を結成して、雇用し続けるよう求めている。(稲田雅文)

 「こんにちは。お疲れさまです」

 四月中旬、関東地方のあるスーパー。ハウス食品のロゴマークが入ったジャンパーを着た四十代の女性が、元気に店員にあいさつをし、業者用入り口から店内に入った。フィールドサポーターと呼ばれ、六カ月の雇用契約の嘱託社員が務めている。この日は売り出し中の商品が、店頭でどのように陳列されているか確認。携帯電話で写真を撮って社に報告をした。

 店内での業務はさまざま。プレゼントの応募はがきなど、キャンペーンの販促品を設置したり、広い通路沿いの目立つ商品棚を確保するよう店長と交渉したり。営業活動以外にも、店舗に届いた同社の商品の梱包(こんぽう)を解いて店頭に並べたり、商品棚を回って補充したりと、本来はスーパー店員がやる仕事の手助けもする。

 女性は「売り場づくりに主婦の目線を生かすことができ、やりがいがある」と語る。巡回先の店長や店員とは濃い人間関係を築いており、棚卸しを手伝いに行くこともあれば、売り込みたい商品がある場合に、発注で無理を聞いてもらうこともたびたび。仕事ぶりには自負がある。

 サポーターの大部分が女性で、一人一人が特定の地域を受け持つ。営業拠点に立ち寄ることもあるが、営業車で自宅から午前九時三十分に直接スーパーに出向いて業務を始め、複数の店を巡回。午後六時十五分の終業時間になると、直接帰宅するのが基本的な働き方だ。メールでの報告と営業車に設置された衛星利用測位システム(GPS)で管理されている。

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 三月下旬、月に一度の営業拠点での会議後に突然、嘱託社員たちに次回更新の契約書が配られたという。四月末までの契約のため、通常なら更新の話は四月下旬のはずだった。契約書は、九月三十日までと一カ月短い五カ月の契約期間とされた上、「今回の契約をもって最終の雇用契約とし、以降の反復更新は行わないものとする」と記載されていた。女性は「“放り出される”という考えが頭を巡り、頭が真っ白になった」と語る。

 十月以降は外部委託先の会社に同じ労働条件で移籍。一年間働いた後は、移籍先と業務委託契約を結び、個人事業主として働くことになるとの説明を受けた。店を巡回する車も自分で用意することになり、収入は大幅に下がりそうだ。渡された契約書は署名押印し、四月一日必着で郵送するよう求められた。

 突然の雇い止め通告に反発した嘱託社員たちは四月一日、労働組合「ハウス食品ユニオン」を結成。二十人が加入した。五月一日以降も従来と同条件で雇用するよう、団体交渉をしている。

 嘱託社員たちから相談を受けた派遣ユニオン(東京)の関根秀一郎書記長は「労働契約法が、この四月に改正されたことを意識した動きではないか」と指摘。今後、有期労働者を雇い止めする企業が広がらないか懸念する。法改正により、有期雇用の労働者が、この四月から五年を超えて働いた場合、本人が希望すれば、期限の定めのない契約にするよう、申し込む権利が生じるためだ。

 ハウス食品は「外部委託化はかねて検討しており、労働契約法改正とは一切関係ない。今年十月の持ち株会社体制移行に伴い、組織や業務内容が大きく変わるため、委託の実施時期を十月にした」と説明している。