9月23日 東京新聞記事を掲載します。派遣法改正案、再提出へ 3年上限撤廃変えず

2014年9月23日 朝刊

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 政府は二十九日に召集する臨時国会に、先の通常国会で廃案になった労働者派遣法改正案を再提出する方針を決めた。廃案は法案に事務的な誤記があったのが理由だったが、今回も誤記の訂正のみで、来年四月から派遣の受け入れ期間の上限を実質的に撤廃する内容。雇用が不安定な派遣労働を助長する恐れがある。 (我那覇圭)

 現行では、通訳やアナウンサーなどの専門的な二十六業務を除く製造業などで、派遣業務の受け入れ期間は最長三年までと制限されている。派遣労働者は正社員に比べて賃金が安く、長く勤められる保証もないため、派遣を「一時的で臨時的」な働き方にとどめる原則があるからだ。

 しかし改正案では、派遣先の会社は二十六業務以外でも、労働組合などからの意見聴取を条件に、三年たった派遣労働者を別の人に代えれば、同じ業務で派遣の受け入れが可能になる。これまでは三年を超えて、同じ業務で派遣受け入れはできなかった。改正は、派遣労働者を使いやすくする経済界の要望を反映させた。

 一方、派遣労働者の不利益にならないよう、労働者が派遣元の会社と有期の契約を結んでいた場合、派遣元に(1)派遣先に直接雇用を依頼する(2)新たな派遣先を提供する(3)自社で無期雇用にする-などの雇用安定化策を新たに義務付ける。悪質な派遣会社の参入を防ぐため、一部で認めていた派遣事業の届け出制をやめ、すべて許可制にする。

 だが、派遣労働に詳しい日本労働弁護団の梅田和尊(かずたか)弁護士は「派遣先による労組への意見聴取は形式的な手続きでしかなく、無制限に派遣労働者を使えるようになる。正社員の置き換えも進むだろう」と指摘した。

 改正案は三月に通常国会に提出されたが、行政機関の命令に従わない派遣会社への罰則について、所管する厚生労働省が本来の「一年以下の懲役」ではなく、「一年以上」と誤記。野党の反発で審議されずに廃案となっていた。