10月26日東京新聞。待機児童問題なお深刻 都心で「認可施設に入園できた」50%割れ

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 全国の政令指定都市と東京二十三区を含む南関東の主要な都市で、今年四月に認可保育施設へ入所できた子どもの割合が平均72・8%にとどまることが、乳幼児の保護者らでつくる市民団体の調査で分かった。昨年四月より1・5ポイント低下し、待機児童問題がより深刻になっていることが浮き彫りになった。地域差も大きく、東京都心部では50%を割り込む自治体もあった。 (柏崎智子)

 調査した「保育園を考える親の会」(豊島区、会員約四百人)は認可保育所などの認可施設に申し込んだ子どもの中で入所できた子どもの割合を「入園決定率」と呼び、全国の政令市と東京都、神奈川、埼玉、千葉県の主要都市の計百市区に調査票を郵送。このうち七十八市区から回答があった。

 七十八市区平均の入園決定率は72・8%。ただ地域差が大きく、東京都渋谷区と港区は50%を切り、低い順で十位までのうち九市区が都内。他県では埼玉県朝霞市(56%)、神奈川県鎌倉市(59・4%)が六割に届かなかった。

 同会には、保護者が子どもの預け先を探す「保活」についての相談が数多く寄せられており、出産前から始めるなどの長期化が目立っているという。会員で、昨年に保活をした会社員渡辺寛子さん(39)=新宿区=は「『妊娠おめでとう』と『保育園大丈夫?』がセットの会話になっている」と話した。同会の普光院(ふこういん)亜紀代表は「子どもとゆったり過ごして愛情を育むべき育児休業期間を、不安にさいなまれて過ごしている」と指摘した。

 同会は入園決定率について二〇〇九年から調査。一五年四月から定員十九人未満の小規模保育や幼稚園の預かり保育なども認可施設となり、同会は同年から、これらの保育施設も調査対象に含めている。国では同様の調査は実施していない。

 同会は調査結果の報告書を一部八百円で販売。問い合わせは同会=電03(6416)0721=へ。

◆「園庭あり」都心わずか2割

 「保育園を考える親の会」は、園庭のある認可保育所の割合についても調査。回答した八十九市区で平均78・1%だった。昨年より2・2ポイント低く、都心では二割という自治体もあった。普光院代表は「活発に体を動かして成長することが必要な時期の子どもたちへの影響が心配」と話した。

 広い土地の確保が難しい中で急速に保育所を整備している都市部では、ビルの一室などで開所し、園庭のない保育所も増えている。

 都心などでその傾向が強く、園庭のある保育所の割合が、東京都文京区、港区、中央区は20%台にとどまった。一方、新潟、静岡、神戸市などの政令市や千葉県我孫子市、埼玉県新座市などは100%備えていた。

 国の決まりでは、認可保育所でも近くに公園があれば園庭はなくてよい。しかし、乳幼児を公園まで安全に連れて行くには通常の保育にかかる以上に人手が必要で、会には「保育所から『職員数が足りず、毎日は公園に連れて行けない』と言われた」というケースも報告されている。

 普光院代表は「昔は認可保育所に園庭があるのは常識だった。幼稚園は必ず運動場を設けなければならない基準になっている。園庭のない施設が多い都心の状況は改善が必要だ」と指摘した。