全国協ニュースNO.185(2021年4月28日)

全国協ニュース

労働者が自らを労働組合に組織し、資本と闘うことこそが労働者の状況を変える

合同・一般労働組合全国協議会事務局長 白井徹哉

 米アマゾンで労働組合の結成をめぐる投票があり、従業員数約5800人の投票総数は約3000票。賛成738票に対し、反対が1798票と過半数を上回り、組合結成は大差で否決された。

 アマゾン社は、職場内に設置された投票箱方式の提案に対して、新型コロナ感染対策を理由に郵便投票方式を要求し、全米労働関係委員会もまた用紙郵送から投票までの時間に余裕を持たせることしたため、アマゾン社は2か月近く反労組キャンペーンを展開することが可能となった。

 アマゾン社は、数千万円の報酬でコンサルティング組織を雇って労働者の「説得」活動を展開。「組合ができれば従前の福利厚生は廃止」「組合結成は結果的に労働者の損失につながる」「結成するなら組合費なしで」などと倉庫の至る所、トイレの個室内にまで反組合のポスターを張り、メールの一斉送信や説得活動も行った。

 こうして「歴史的投票」と報道されていたアマゾン社の労組結成投票は組合側の大敗北に終わった。だが、この歴史のうねりは終わらない。

 アマゾンは米国だけで約56万人、世界では100万人以上を雇用する。全米で2位の民間雇用主だ。配送など関連部門を合わせればその数倍が働く。世界時価総額ランキングをみると時価総額は1・74兆ドル(約186兆円)。ランキングはアップルやマイクロソフトなど巨大IT企業ばかりで製造業のランクインはサウジアラムコ(石油)、TESLA(電気自動車)ぐらいだ。アマゾン創業者のジェフ・ベゾフの個人資産は約20兆円、これを接収して世界中のアマゾン労働者に配布すれば1人2000万円になる。文字通り桁外れの独占者なのだ。

 昨年秋には、グーグルで労働組合が結成されニュースになった。今後、巨大IT企業で労働組合結成の挑戦は続く。この動きは、1920~30年代の米労働運動の歴史を想起させる。第1次世界大戦-ロシア革命後の米国では、戦争に反対の態度を示したIWWが政府の弾圧で衰退し、USスティールのストライキは多くの犠牲者を出して敗北するなど、経営者はアンチユニオンの強硬な姿勢を打ち出し、黄犬契約やブラックリスト、暴力探偵社によって米労働運動は凋落し、20年代は「ノーユニオン」の時代と呼ばれた。

 しかし、1929年の世界大恐慌の後、米労働運動は戦闘性を取り戻す。GMやフォードなどの自動車産業、USスティールなど鉄鋼産業などの巨大独占企業を相手にバリケードを築いて工場を占拠し、工場や機械を人質にとって長期のストライキを闘いぬき、資本家たちを屈服させ、労働組合を認めて団体交渉に応じさせた。

 こうした時代が迫っていることを予感させる。私たち合同一般労働組合全国協議会の組織化の対象は、新しい産業、新しい搾取形態、労働者の新しい状況、労働者の新しい意識、そして何より既存の労働組合によって放置されている状況に迫っていきたい。そして、労働者が自らを労働組合に組織し、資本と闘うことこそが労働者の状況を変えることを、まず私たち自身が強く認識し、組織化に踏み出すことが必要だ。

 日本でも、アマゾンや楽天、郵政や佐川、ヤマトなど物流業界(倉庫・配送など)は、非正規雇用の問題が鋭く存在する。低賃金で過剰労働、派遣・有期雇用…。米アマゾン労組結成をめぐる問題は、日本もまったく同じだ。

 物流業界だけではない。医療・介護あるいは建設・運輸(生コンなど)、非正規公務員・公共民間など、それぞれの産別・業界・業種・職種において、それぞれの労働者の状況を変革するために労働者の組織化と闘いのスローガンを示すことができるし、闘いの中でそれを目指したい。

 例えば介護業界であれば、人手不足などによる過酷な夜勤などの待遇改善の要求と闘いにとどまるのではなく、こうした人手不足と過酷な労働の背景にある、2000年の介護保険制度の開始による介護・福祉の民営化・営利化に対して、労働組合としてどう立ち向かっていくのかと問題を立て、そのためにこそ職場の労働者全体が団結すること、そして職場を超えて介護労働者が団結することが必要なのだと提起できるはずだ。地域住民の闘いと結びついたローカル線切り捨て・ワンマン化反対などを闘う動労千葉の反合理化・運転保安闘争、あるいは関西生コン支部の産業政策のような闘い方は全産別・業種で展開できる。

 こうした業種別・職種別の組織化を縦軸とするならば、全国各地の地域合同労組・ユニオンは、こうした闘いを地域において推進する決定的な主体となるはずである(横軸)。全国的に闘うことで、連帯感を強め、激励しあい、闘いや組織化の教訓を共有していきたい。合同一般労組全国協として具体策を打ち出していきたいと考えていますので、活発な意見交換と実践活動をお願いしたい。

『挑戦を受ける労働基本権の保障―1審判決(大阪・京都)にみる産業別労働運動の無知・無理解(検証・関西生コン事件①』(連帯ユニオン⦅編⦆旬報社 800円+税)の紹介

東京東部地域合同労組合東部ユニオン委員長 小泉義秀

 「業者団体と警察・検察が一体となった組合弾圧=『関西生コン事件』がはじまって4年。労働法研究者、自治体議員、弁護士の抗議声明が出され、労働委員会があいついで組合勝利の救済命令を下す一方、裁判所は産業別労働組合への無知・無理解から不当判決を出している。あらためて『関西生コン事件』の本質、不当判決の問題点を明らかにする!」というキャッチコピーの書かれた小冊子が販売された。

まともな労働組合の受難―全日本建設運輸連帯労組関生支部刑事訴追裁判鑑定意見書 熊沢 誠

1 検察および警察のみる関生支部――視点の歪み・視野の狭窄

2 労働組合・関生支部の実像

3 関生支部弾圧の背景と司法判断の影響

4 むすびにかえて

「関西生コン事件」と労働法理―「加茂生コン事件」を中心として 吉田美喜夫

1 「加茂生コン事件」の概要と判決の検討視角

2 労働組合の結成と形態

3 労働基本権の確立と法的核心

4 組合活動の目的と基本課題

5 「加茂生コン事件」判決の問題点と法的課題

6 労働基本権の発展の課題

大阪ストライキ事件判決批判―産業別労働組合についての無知・無理解 宮里邦雄

1 判決の内容

2 判決に対する批判

3 大阪第一次事件判決についての補足

 以上が目次の内容である。重大な問題がはらんでいるのであらゆる角度から本書を学び、検証していく必要がある。「産業別労働組合についての無知・無理解」というレベルの問題ではない。4月1718日の両日、東京と大阪で開催された「第2回 検証シンポジウム 関西生コン事件のこれからを考える」において久堀文弁護士が「大坂府労委命令と中労委事件の現状」という報告で明らかにしている核心は以下である。

1 中央労働委員会において会社側代理人弁護士の多くが広域協顧問弁護団に交代したということ。その弁護士は元大阪地検刑事部長、元最高検検事、元大阪地検刑事部長などの経歴を有する総数39名である。

2 その弁護士が前面に打ち出している主張は「かねてより多くの生コン製造会社やその輸送会社等を標的にし、組織的に、違法な業務妨害行為や街宣活動等を繰り返し、そのような『圧力』を背景にした恐喝行為により巨額の経済的な利益を得てきた反社会的色彩の強い集団」と定義づけ、過去に締結された協定書等も関生支部の「圧力」を背景にして結ばれたものであるから、「違法行為により実現された利益は法的保護に値しない」というものである。これは関生支部が反社会的集団=暴力団と同じ扱いで刑事事件としてデッチ上げた検察側の主張の引き写しである。

3 こんな主張がまかり通るならば労働組合の三権、労働組合活動のすべてが否定されることになるとんでもない内容である。これらの主張は関西生コン支部のみならず、すべての労働組合、すべての労働者に対する挑戦と位置づけ、反撃していかねばならない。

労働日誌(3月25日~4月27日)

「コロナで解雇は不当」と提訴 ユナイテッド航空元乗務員

4月20日 共同通信

新型コロナウイルスによる経営悪化を理由とした解雇は不当だとして、米ユナイテッド航空の元客室乗務員83人が、同社を相手取り、地位確認や賃金支払いを求める訴訟を東京地裁に起こしたことが20日、分かった。希望退職者を公募するなどの対応が不十分で「解雇権の乱用に当たる」と主張している。
原告側代理人によると、83人は日本人の他、英国、シンガポールなどの国籍を持ち、成田空港を拠点に勤務していた。新型コロナ感染拡大による航空便の減便で、成田、香港、フランクフルトの3拠点が閉鎖されたのに伴い、昨年10月に全員解雇された。

コロナ解雇10万947人 12万超の企業が休業相談

4月13日 共同通信

厚生労働省は13日、新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇い止めが、9日時点で見込みを含めて累計10万947人だったと発表した。
各地の労働局やハローワークに休業に関し相談をした事業所は累計12万6856カ所に上った。
業種別に見ると、製造業が2万2368人で最も多い。小売業1万3424人、飲食業1万2442人、宿泊業1万1649人、卸売業6111人の順だった。
都道府県別では、東京が2万2765人で最多。大阪9350人、愛知5577人、神奈川4385人、北海道3717人と続いた。

「女性不況」 雇い止め・育児 コロナ禍しわ寄せ

4月4日 産経新聞

新型コロナウイルス禍は、立場が弱い女性たちの経済苦「女性不況」を招いた。感染拡大の“元凶”と名指しされたサービス業の主な担い手が非正規の女性だったことで雇い止めが相次いだほか、学校や保育園などの休校・休園で子供の面倒をみるため仕事を休まざるを得ない人が増えたためだ。政府は資金需要が増える年度末に困窮世帯への支援策を講じたものの、必要な人に十分な支援の手が届いているとはいえない状況で、継続的な対応が不可欠だ。
■隠れた実質的失業
総務省が発表した1月の労働力調査では、非正規の女性は前年同月比で68万人減と、男性(22万人減)に比べ3倍超減少した。ただ、正社員の女性は逆に増加している。外出自粛や営業時間の短縮要請で打撃を受ける飲食や旅行業は、労働者の53%(令和2年)を非正規女性が占めており、緊急事態宣言の再発令がこうした雇用を直撃したことが分かる。
正社員を含む完全失業率では男性3・1%、女性2・7%と男性の方が高い。ただ、ホテルで働く女性のように、雇用は継続してもシフト削減などで実際は働けていない「実質的失業」状態が多いのもコロナ禍の特徴だ。野村総合研究所の推計では、パート・アルバイト従業員のうちシフトが5割以上減り、休業手当を受け取れていない実質的失業者は2月時点で女性103万人、男性43万人に上る。これを加味すると、女性の失業率は6・1%(男性は4・2%)に跳ね上がる。
■「ひとり親世帯」深刻
こうした非正規労働者の雇い止めに加え、育児や介護で退職を余儀なくされるケースも目立つ。昨年春、全国の小中学校などが一斉休校した際は保育園などの受け入れ制限も相次ぎ、子供を預けられずに仕事を休まざるを得ない親が続出した。特に夫婦で育児を分担できない「ひとり親世帯」は深刻な収入減に陥った。
外出自粛で家族と過ごす時間が増えたことでドメスティックバイオレンス(DV)など家庭内トラブルも頻発した。警察庁によると2年の女性の自殺者数は前年比15・4%増の7026人と大幅に増え、急激な生活環境の変化や経済難が多くの女性を追い詰めたことが浮き彫りになった。
内閣府の有識者研究会は昨年11月の緊急提言で、コロナ禍は「女性への影響が深刻で、『女性不況』の様相」だと指摘。DVや性暴力、自殺の相談体制強化などを求めた。