全国協ニュースNO.188(2021年7月22日)

全国協ニュース

広島からも菅打倒のたたかいはじまる

広島連帯ユニオン執行委員長 宮原亮

716日IOCバッハ会長の広島訪問に対し、8・6ヒロシマ大行動実行委員会は前夜15日に来広阻止のデモを行い、さらに16日当日にはバッハを直撃するスタンディング抗議を原爆ドーム前で行った。

必要な医療も受けられず死ぬ人、職を失い生きる糧を奪われる人が続出する中での五輪開催。労働者民衆にはひたすら我慢と犠牲を強いながら、1%にも満たない菅や安倍、竹中平蔵ら支配階級は莫大な利権を得る。ふざけるな! どこが「平和の祭典」か! 1516日の広島はそうした怒りが堰を切ってあふれ、広範な労働者民衆がともに声をあげた。

前日の14日には「黒い雨」訴訟の控訴審で1審地裁判決を超える全面勝利判決が出された。判決は原告84人のみならず宇田・増田・大瀧の3雨域の中にいた人はみな被爆者であると認めた。内部被ばくの健康影響を認めさせ、日本の原子力政策を根本からひっくり返す画期的事態だ。新たな核戦争と改憲に広島からも巨大な反転攻勢が始まった。

「ヒロシマつぶし」に巨大な反撃を
6月広島市議会で制定された「広島市平和推進条例」は平和記念式典を「厳粛のもので行うものとする」(6条2項)と規定し、8・6デモを弾圧することが目的の条例だ。安倍や菅とつながった右翼市議(その一人は汚職議員の河井から現金を受け取っていた)や松井広島市長が主導し、立憲民主党の市議がこれに積極協力する中で成立した。しかし条例制定に対しては8・6ヒロシマ大行動実行委員会はもちろん、2つの被団協、原水禁、原水協、弁護士会や市民団体、地元労組など広範な反対の声が続出した。この条例の背景には菅政権による中国侵略戦争参戦への決断がある。4月日米首脳会談では「核も含むあらゆる能力」で中国に対抗し「台湾有事」には日米が共同対処することが確認された。すでに菅政権内部では日米ガイドラインの見直しの検討、安保関連法に基づく「存立危機事態」や「武力攻撃事態」などを「台湾有事」に適用する検討を開始されている。

戦争の準備は軍備や基地を増強し、法律を整えればできるわけではない。ありとあらゆる反戦運動、反基地運動、反核運動、そして労働運動と学生運動を叩きつぶさなければ戦争の体制を作ることはできない。JR東の「労組なき社会」攻撃、関生弾圧、これらと一体の「ヒロシマつぶし」として「平和推進条例」が出されてきたのだ。

広島の反戦反核運動は被爆者や福島の人々、基地や原発立地住民を先頭としつつ、労働組合をその運動的実体としながら発展してきた。この間の「ヒロシマつぶし」が99年文部省是正指導=教職員組合弾圧から始まったように「ヒロシマつぶし」は労働組合つぶしでもあるのだ。

全国のたたかう労働組合、たたかう労働者の皆さん!

86日午前7時15分原爆ドーム前に結集し、菅の式典出席を弾劾し新たな核戦争と改憲を絶対に許さないデモ、菅に怒りを叩きつけるデモを断固やり抜こう! 「労働組合のない社会」「反戦反核運動のない社会」にしようとする菅の改憲攻撃に対して、我々の断固たる回答を8・6朝デモで示そう!

全国から8・6ヒロシマ大行動への大結集を呼びかけます!

全日建運輸連帯労働組合関西地区生コン支部・武建一委員長に対する不当判決弾劾

 7月13日10時大阪地裁において、関西生コン労組事件・武建一委員長への判決があった。この裁判傍聴及び大阪地裁前公園での座り込み集会には、全国の支援・400名以上が参加した。コロナを理由に、傍聴券は32枚しか発行されなかった。一般的に行われる傍聴券を譲る行為は認められなかった。権力と結託した使用者団体・大阪広域生コン協同組合側も300名弱の動員をかけた。

 今回の判決は武委員長の3つの事件についてなされた。

第一は 2015.5タイヨー生コン事件(1000万円恐喝)-無罪。第二は 2017.37フジタ事件(滋賀コンプライアンス事件-ゼネコン・フジタに対するコンプライアンス活動を恐喝未遂とする事件)。第三は 2017.12大阪事件(輸送運賃値上を求めるセメント・ステーション等におけるストライキ事件を業務妨害とする事件)。

第二、第三に対して懲役3年、執行猶予5年の有罪判決である。

タイヨー生コン事件は、「コンプライアンス活動を止めて欲しかったら1000万円払え」という事実はなかったと認定され、1000万円の関西生コン会館建設カンパをずっと後になってから「恐喝」とする検察のシナリオは崩壊した。

フジタ・コンプライアンス事件は、201737月のゼネコン・フジタが施工した清涼飲料水チェリオの工事現場での違法行為を指摘するコンプライアンス活動が恐喝未遂とされた事件だ。湖東協同組合の生コンを使わずダイセーの生コンを使っていたことに対し、品質に問題があるからと協同組合の生コンを使うように嫌がらせをしたというものである。

裁判長は「個々の組合員の態様や言葉遣いは丁寧でいさかいもないものであったとしても、また個々の組合員が先行する星山事件(京都)民事での、コンプライアンスは違法ではない、という共通認識を持っていたとしても、4か月にわたって継続的、連続的に執拗に行われたことで会社が圧力を感じた故に恐喝に当たる」と判断した。

 産業別労働組合である関西生コン支部にとって、協同組合に加盟している会社から生コンを購入させることは重要な活動である。上流のセメント独占資本のセメント価格つり上げと下流のゼネコンの生コン買いたたきを防ぐこと、そのためのコンプライアンス活動である。

大阪ストライキ事件(201712月、運賃値上げを求めるストライキ事件)は、昨年10.8不当判決・懲役26か月(指示役とされた西山、柳執行委員)、今年3.15現場メンバーへの不当判決・懲役2年と同じ裁判官。

サービスステーションに出入りするトラック運転手への説得活動が犯罪に当たるかが焦点とされたが、裁判長は、10.8判決等を踏襲して、現場の行動は平和的説得の範囲を超えている、バラ車を止めたことが大阪中央生コンへの強烈な阻害行為で悪質だとする判断。武委員長は支部にいて現場にいなかったにも関わらず「共謀」を認定した。対象となった企業に組合員はおらず、労組法の使用者に当たらないから正当行為としての刑事免責の対象外、とするものであった。

労働日誌(6月30日~7月21日)

菅内閣の支持率30%、発足以来最低

7月17日 毎日新聞

毎日新聞と社会調査研究センターは17日、全国世論調査を実施した。菅内閣の支持率は30%で、6月19日の前回調査の34%から4ポイント下落し、2020年9月の政権発足以降で最低となった。不支持率は62%で、前回の55%から7ポイント上昇し、過去最悪となった。
菅政権の新型コロナウイルス対策を「評価する」と答えた人は19%で、「評価しない」の63%を大幅に下回った。「どちらとも言えない」は18%だった。「評価しない」と回答した層の9割弱が菅内閣を「支持しない」と答え、「支持する」は1割弱にとどまった。
23日に開幕する東京オリンピックについても聞いた。ほとんどの競技が無観客で開催されることについては、36%が「妥当だ」と答え、「観客を入れて開催してほしかった」は20%だった。一方で、「延期か中止にしてほしかった」が40%で最も多く、「わからない」は3%だった。 五輪を楽しみにしているかについては、「楽しみにしている」は35%で、「楽しむ気持ちになれない」の48%を下回った。「もともと楽しみにしていない」も17%あった。
菅義偉首相は「安全、安心な大会」の実現を強調しているが、安全、安心な形で開催できると思うかとの問いでは、「できると思う」との回答は19%にとどまり、「できるとは思わない」は65%に達した。

最低賃金、28円引き上げ 930円に

7月14日 毎日新聞

厚生労働相の諮問機関「中央最低賃金審議会」の目安小委員会は14日、2021年度の地域別最低賃金(時給)の引き上げ幅について28円を目安とすることを決めた。引き上げ幅は過去最高で、全国平均で現在の902円から930円に引き上げられる見通し。経営者側は新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化を理由に、現状維持を求め、引き上げを求める労働者側と対立したが、「全国加重平均1000円」を目指す政府方針を背景に引き上げる方向で決着した。小委員会後の審議会で最終決定し厚労相に答申する。これを参考に都道府県ごとの審議会で引き上げ額が決定され10月ごろ全国で新たな最低賃金が適用される。 政府は16年度以降、デフレ脱却などを通じた経済再生のため、早期に全国加重平均で1000円を目指すとし、19年度まで4年連続で3%以上(20円台)の引き上げが行われた。しかし20年度は新型コロナの感染拡大による企業業績悪化を背景に、政府は「雇用維持が最優先」として引き上げに慎重姿勢を示した。これを受け審議会も「目安を示さない」という異例の結論を出し、全国加重平均で0・1%(1円)の引き上げにとどまった。現在の最低賃金の全国加重平均は902円。最高が東京都の1013円、最低が秋田県や沖縄県などの792円。
審議会は13日午後2時からの詰めの協議を開始。経営者側は「観光業などダメージが大きい。雇用維持が難しくなる」として現状維持を要求。労働者側は「内需喚起や格差是正のため賃上げが不可欠」として引き上げを求めていた。

雇用回復は来年末以降 コロナ禍で格差拡大

7月7日 時事通信

経済協力開発機構(OECD)は7日、加盟国の雇用状況に関する報告書を公表し、新型コロナウイルス危機以前の水準に回復するのは2022年末以降になるとの見通しを示した。コロナ禍で高所得者と低所得者との格差が拡大したと指摘。「各国政府が復興計画の中心に雇用対策を据えなければ、不平等が定着する危険性がある」と警告している。 OECDは、新型コロナが世界中に広がった20年4月、加盟国の平均失業率が前月比3ポイント上昇の8・8%に悪化したと説明。若い世代で特に高く、18・9%に達した。 日本の失業率は、19年の平均2・4%から21年5月に3%と、他の加盟国に比べ影響は小さかった。OECDは、日本政府がロックダウン(都市封鎖)などの厳格な規制を行わなかったことや、感染率が低かった点を理由に挙げている。 OECDは高度な技術を持った労働者がロックダウン中も在宅勤務で収入を得ていた一方、技術を持たない人は労働時間を削られたり雇用契約を解除されたりする割合が高かったと分析。「コロナ危機は経済的、社会的な分断を加速させ、労働市場での不平等を招いた」と指摘した。

本の紹介 『アンダーコロナの移民たち 日本社会の脆弱性があらわれた場所』(鈴木江里子編著 明石書店)

東京東部ユニオン委員長 小泉義秀

「コロナ禍で移民たちが直面している困難は、日本人以上に深刻だ。雇用環境が元々脆弱な上、就職差別にも遭遇している。学びやつながりの困難を抱える人も多い。この状況下でなおも『社会の一員』の可能性を奪い、排除し続けることの意味を問う、画期的な試み。」「不平等の社会を続けるのか」というのが帯のコピーだ。

 本書はⅠ「脆弱性はいかに露呈したか」、Ⅱ「脆弱性をどのように支えるか」、Ⅲ「『もう一つの社会』に向けて」の3部12章で構成されている。総論とあとがきは編著者の鈴木江里子が書き、12章の書き手は第3章は二人の執筆者であるが、他は一人ひとり別々の人が書いている。したがって本文の執筆者は総勢14名だ。他にコラムがあり、9名が書いている。鈴木江里子は国士館大学文学部教授でNPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)副代表理事であり、「認定NPO法人多文化共生センター東京理事」等を兼任している人なので、そういうつながりの筆者陣である。重要なことはそれぞれの執筆者が第一線の活動家であり、自らの具体的実践の報告であることだ。だからそれぞれの章が一冊の本に書かれて然るべき内容と重さがあるので簡単に読み進めることができない深さをもっている。繰り返しの学習が必要な本である。

 例えば以下の記述は極めて具体的、実践的なアプローチが必要である。

「社会保障の『最後の砦』たる生活保護制度については、外国籍の住民には『申請の権利はない』との行政解釈となっているが、定住性の高い在留資格をもつ人については、福祉事務所の判断により保護することは可能という位置づけである。南米系の人々は、多くが生活保護受給が可能な在留資格を有しているが、次節で紹介されているように、受給は容易ではない。」(41頁)

 だから議員などが電話をかけると市の対応が180度変わり、必要とする世帯に保護が降りるのである。こういうことは労働相談等の時に直面する課題である。こういうケースを知っているか否かで解決基準が違ってくるがゆえに学ぶことが必要だ。

「第4章 運用と裁量に委ねられた人生―コロナで浮き彫りとなった仮放免者の処遇」は呉泰成が書いている。彼は大坂経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員であり、静岡文化芸術大学兼任講師でもある。

「仮放免は、正規化と退去強制の間の一時的な位置づけである。『大きな牢屋』としてのコロナ禍にある仮放免者を『送還忌避者』と一括りにせず、個別的な事情を踏まえた上で、難民認定、在留特別許可を柔軟、適切に運用すべきである。『人材』の受入れに関する議論だけでなく、すでに生活基盤が日本で形成されている非正規滞在者や庇護を求める難民申請者を如何に包摂していくか、国のみならず、市民社会の力量が新たに問われることになるだろう」(108頁)と書いている。