全国協ニュースNO.190(2021年9月28日)

全国協ニュース

10・23「都立病院つぶすな」集会から11・7日比谷野音集会へ

合同・一般労働組合全国協議会幹事 小泉義秀

「民営化は悪だ! 都立病院つぶすな 1023集会&デモ(大行進)」が1023日(土)すみだ産業会館サンライズホール(錦糸町駅南口すぐ 墨田区・丸井共同開発ビル8階)で開催される。

「※労働者の団結で社会を変えよう! ※「新自由主義を終わらせる」労働運動の再生を 民営化が社会を壊してきた ※闘う労働組合の全国ネットワークを! 11月7日、日比谷野音集会へ」が集会の柱だ。

1023 錦糸町集会では、職場において民営化・合理化・解雇と真っ向から闘って労働運動を前進させてきた仲間がアピールする。労働運動の力を甦らせ、新自由主義を終わらせ、社会を根本から変えよう。1023集会の成功を勝ち取り、11・7集会へ!

小池都知事が議会に「定款」提出

小池都知事は9月28日から行われる都議会に、都立・公社病院独法化の定款(ていかん)を提出する。定款とは法人の運営の基本指針が書かれたものであり、都議会での議決を経なければならない。9月28日からはじまる第3定例議会と12月の第4定例議会での攻防となる。

小池都知事は、8月17日には「医療非常事態」を宣言し、23日には「デルタ株には総力戦で臨む必要がある」と都内の医療機関に更なるコロナ病床の確保を呼びかけている。ところが非常事態・総力戦だと言いながら、都立病院を公社病院ともども独法化しようとしている。都が「自ら主体となって直接実施する必要がないもの」を行うのが地方独立行政法人であり、小池都知事の行為はコロナの最前線で医療に携わる医師や看護師の後ろから鉄砲で打つようなものなのである。

 昨年1月からコロナ患者の約7割を都立・公社病院で受け入れ、治療を行い、病床の確保にあたってきた。しかし、小池都知事は2020年3月31日に独法化方針を打ち出し、遂に定款を提出してきたのである。

コロナ医療には金も人手もかかる。独法化されて「独立採算」、「儲ける医療」になればこれまでと同じ医療はできなくなる。7月28日、小池都知事は急拡大する感染に向かい合うことなく、「自宅も病床のような形で」と話している。結局、コロナ病床が足りず、都内では8月はじめから9月中頃までに44人もの方が「自宅療養」中に死亡している。この数は一都三県では突出しているのだ。「自宅療養」とは入院できないで「自宅放置」されることだ。今の医療体制のまま5波を超える6波が来たら、在宅死の悲劇が繰り返される。東京都の新規感染者数はオリパラ開催時の5000人から比べると10分の1程度に減少した。しかし、東京基準の重症者の数はまだ100名を超えており、減っていない。「自宅放置」患者はまだ多数いるのだ。

独法化は7000名の公務員労働者を非公務員化することであり、都庁職病院支部、衛生局支部の解体攻撃でもある。東京労組交流センターと共に、合同・一般労働組合全国協議会の仲間はこの独法化攻撃を絶対に許さないために1023集会を成功させ、11・7に向かう。

最低賃金並み 10年で倍増 労働者全体の14・2%に

 9月14日の「東京新聞」の1面の見出しが、上記である。最低賃金(最賃)に近い賃金で働く人の割合が、10年程で倍増したという。都留文科大の後藤道夫名誉教授の試算だ。最賃の全国平均の11倍以下で働く人の割合が2020年に14・2%となり、09年の7・5%から急伸した。非正規労働者や低賃金の正社員が増えたのが要因の一つで、コロナが脆弱な雇用構造に追い打ちをかけたという。

 後藤氏によると最賃の全国平均以下で働く割合は3・3%から6・2%。後藤氏は最賃の1・3倍までを「低賃金労働者」とみて業種別で比較可能な09年と20年の賃金統計を分析している。これによると19・5%が31・6%に増えるという。1・2倍以下だと13・4%(09年)から23・7%(20年)となる。すると見出しは「10年で6割増 労働者全体の31・6%に」でも良い。労働者の3割が最低賃金ギリギリの低賃金で働いている。

 20年分を業種別にみると、最賃の1・1倍以下で働く人は卸売・小売り(22・2%)や宿泊・飲食サービス(31・5%)などが多い。パートやアルバイトら非正規労働者が多い業種だ。

「都内の大手メーカー子会社で働く男性正社員(40)は手取り14万円。時給換算すると東京の最賃(1013円)の1・1倍をわずかに上回る1126円だった。男性は精神疾患があり障害年金を受けているが、医療費に消え、週に5日は夕食を抜いてしのぐ」

 ここでの分類は「男性正社員」となっているが大手メーカーの子会社である。日本においては子会社でも正社員は「正社員」とされるが、韓国民主労総はこういう労働者は非正規雇用に分類する。非正規雇用が4割というが、こういう「正社員」を非正規雇用に分類すると非正規雇用の割合は4割では済まない。

 今回の最賃引き上げにより全国平均で930円。上げ幅は28円で過去最大というが、経営側は「経営が圧迫され雇用が維持できない」と反対していたのである。2013年度から毎年2~3%づつ引上げられているが、28円が過去最高というのはとんでもないことだ。

 低所得者の割合を示す相対的貧困率は2017年、G7で下から2番目。2019年の国民生活基礎調査では年収200万~300万円未満の世帯が13・6%と最多であり、最低賃金では生きていけない現実がある。先の「男性正社員」のように週5日夕食を抜かなければならないような状態に労働者が置かれているのだ。

 9月26日の「東京新聞」1面の見出しは「保育園休園急増 働けぬ保護者悲鳴」「収入面・精神面…親も逼迫」である。

 保育園でコロナの陽性者が出れば保育園は休園となる。代わりの預け先が見つからなくバイトを休んで育児するしかない。10日とか2週間休むことになり、その分の賃金は出ない。こうなると生活できなくなるのである。全国協にもこういう労働相談が増えてくることは必至であるが、どこまで対応できるのかということが問われる。労働相談の体制整備と共に、労働者を組織して共に闘う体制を作り上げることが必要である。

労働日誌(9月3日~9月27日)

深刻な日本車の減産、約170万台に コロナ禍で部品不足が長期化

9月24日 朝日新聞

 日本経済を支える自動車産業の減産が深刻になっている。半導体不足や東南アジアのコロナ禍で、部品の調達が難しくなった。主な大手メーカーの減産数を集計したところ、8月末時点は約93万台だったが、9月に入って約1・8倍の約170万台に増えた。主なメーカーが2020年に生産した合計の約7%に相当する規模だ。今年度の年間計画にも影響しており、経済損失は全体で1兆円を超えるとの試算もある。

需要は堅調で買いたい人は多いのに…

 減産は一時的だとの見方もあったが部品の調達難は続いている。9月に入っても工場の稼働停止が相次いで発表された。自動車への需要は堅調で買いたい人は多いのに、売る新車を十分つくれなくなっている。

 トヨタ自動車は9~10月の生産数を計画から76万台減らした。部品不足による生産停止は一時、国内の全ての工場に及んだ。生産計画にも影響し、今年度の世界生産数は930万台から900万台に引き下げた。

 ホンダも8~9月の国内生産が計画の4割、10月上旬は7割まで減る見通し。世界販売数は15万台減の485万台とする。

 スズキは生産数を35万台減の288万台、スバルは4万台減の99万台にした。

経済損失、最大で1・2兆円の試算も

 背景には半導体が年明けから不足していることがある。半導体製造大手ルネサスエレクトロニクスの工場火災も3月にあった。8月には正常化したが、デジタル化による需要増もあって世界的に品薄だ。自動車に使われる半導体は種類が多く、簡単には増産できない事情もある。

 さらに夏ごろからベトナムなど東南アジアで新型コロナウイルスの感染者が増え、部品生産が滞った。なかでも困ったのが「ワイヤハーネス」と呼ばれる電線の束だ。自動車の神経・血管に例えられるもので生産には手間がかかる。ほかの工場での代替はすぐにはできず、正常化には時間がかかりそうだ。

 減産の規模などは各社で異なるが、年内は混乱が続くとの見方も出ている。

 大和総研は現状の減産状況を踏まえ、21年度に実質国内総生産(GDP)が0・3兆~0・6兆円減少すると試算する。自動車産業以外への波及も合わせ、経済損失は最大1・2兆円にふくらむという。

高齢者4人に1人が労働者 総務省推計、65歳以上人口が29%超に

9月19日 朝日新聞

 総務省は20日の敬老の日に合わせ、2015年の国勢調査を基にした高齢者の人口推計を公表した。65歳以上の人口は前年より22万人増えて3640万人、総人口に占める割合(高齢化率)は29・1%となり、それぞれ過去最高を更新した。政府が「生涯現役社会」を目指す中、高齢者の就業率は25・1%と初めて「4人に1人」に達した。

 高齢者の女性は2057万人(女性人口の32・0%)、男性は1583万人(男性人口の26・0%)。1947〜49年生まれの「団塊の世代」を含む70歳以上の人口は2852万人(総人口の22・8%)と、前年より61万人増えた。

 30%に迫る高齢化率は世界最高で、2位のイタリア(23・6%)、3位のポルトガル(23・1%)を大きく上回る。

 高齢者の就業者数は17年連続で増え、906万人と過去最多を更新した。就業率も9年連続で上昇して25%を超えた。日本は主要7カ国(G7)の中では最も高齢者の就業率が高い。

 就業者全体に高齢者が占める割合も、過去最高の13・6%になった。産業別に見ると「卸売業、小売業」が128万人と最も多く、次いで「農業、林業」が106万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が104万人で続いた。

 働き方は、パート・アルバイトなど非正規の職員・従業員が7割を超える。その理由について、男女ともに3割を超える人が「自分の都合のよい時間に働きたいから」と答え、最も多かった。一方で、「家計の補助などを得たいから」と答えたのは女性で2番目(21・6%)、男性で3番目(16・2%)だった。

 政府は「生涯現役で活躍できる社会を創る必要がある」とし、高齢者の就労を進める一方で、高齢者に新たな医療や介護の負担を求める社会保障改革を進めている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、高齢化率は今後も上昇を続け、7174年生まれの第2次ベビーブーム世代が65歳以上となる40年には、35・3%になる見込みだ。

『公立病院の経営改革 地方独立行政法人化への対応』(あずさ監査法人編 第2版 同文館出版 2016年8月10日刊)で書かれていること

東京東部地域合同労働組合東部ユニオン委員長 小泉義秀

 本書の第1版は2010年3月である。あずさ監査法人は周知のように国鉄分割・民営化や郵政民営化を手掛けてきたと言われる。2003年に設立されたとなると国鉄分割・民営化や郵政にどうかかわってきたのか疑問となるが、あずさ監査法人の前身が関係したということだろう。公認会計士合格者等1266名を含む6000名を要するビック4の監査法人の一つである。

 都立・公社病院の独立行政法人化の移行業務を落札したのがこの「法人」で東京都は45億円をあずさ監査法人に支払うことになっている。結論から言えば独法化というのはこういうハイエナのような輩だけが巨利を得る仕組みであり、「病院の経営改革」というのは労働組合潰し、賃金と労働条件の切り下げ=非正規化以外の何物でもない。

「独立行政法人制度は,公的なサービスを実施することは従来と変わりませんが,会計制度,ディスクロージャー,人事制度等で民間経営手法を取り入れた法人です」(2010年第1版 はじめに)とあり、「経営改革のための手法として,原価計算制度や業績評価基準等についても解説しています。」と続く。

「地方独立行政法人の労務・人事制度に基づき,人事システムや給与計算システムを構築することが求められます。そのため,法人設立準備段階からシステム構築の準備を進めることが必要となります。」(51頁)とあるように賃金を如何に切り下げるかが独法化の狙いの核心にある。

「給与は自治体の給与制度から解放され,法人の経営状況や職員の構成・勤務業績等を勘案して法人が独自に定める新制度へ移行します」(84頁)とあることからも明らかだ。

「確かに新たな制度に自動的に移行される職員ですが,自主的退職を行う自由もあります。……大量の退職者を発生させるリスクがあります。」(88頁)と脅かした上で、一定以上の賃金の引き下げは不利益変更になるので労働組合の理解を得るのは難しい。その場合は「非管理職の給与を切り下げる代わりに定年を延長して安定した雇用継続を提供することなどは、職員に安心感を与えつつ,使用者としては職員の流出を減少させる手段となりえるため,有効な選択肢といえるでしょう。」(9495頁)と露骨に攻撃の方法も明示している。凄まじいのは管理職ではなく「非管理職」の給与を切り下げると言い切っていることである。そうして定年を延長して‥‥‥‥などと書いている。一方的に不利益変更を行うことが明示され、実行に移されているのである。現下の攻防では独立行政法人化は労働組合の交渉事項ではないとされ、労働組合の頭越しにメール等で個々の労働者に独法後の労働条件が明示されるという事態になっている。明らかな不当労働行為であるが、有効な反撃が労働組合として取れない状況が続いている。この苦闘を共有しながら如何に独法化を阻止するのかが問われている。