経営労働政策委員会報告批判

 小泉事務局長から「経労委批判」が寄せられたので掲載します。(全国協事務局)

 経営労働政策委員会報告批判  

               合同・一般労組全国協事務局長 小泉義秀

『経営労働政策委員会報告・2012年版』が1月24日に発表されました。今回のタイトルは「危機を乗り越え、労使で成長を切り拓く」です。『序文』の米倉の『重要なる視点』は「我々がなすべきは、ひたむきに企業活動を活性化させ、『ゆるぎない企業の基盤づくり』に取り組むことだ。その際に重要となる視点は4つある」として、「第一は、マインドセット(心構え)」「第二はビジョン(目標)」「第三は、パワー(力)」「第四は、パートナーシップ(協力・協働)」を並べ、『労使が企業の存続と発展をともにめざすことこそが、双方にとって果実をもたらす』としています。しかし、心構えも、目標も力もない日帝がよりすがるのは連合です。最重要の視点は第四の(協力・協働)にあり、連合の協力なしに進まないということであり、労働組合を巡る攻防が一切を規定しているということです。

 その上での最大の焦点は非正規雇用労働問題です。『労使間で見解が異なる論点に関する主張(その1)「①労働市場を巡る規制強化の動きとその影響」では「有期労働契約、高齢者雇用、労働者派遣制度に関する規制強化の方向は、本来、契約当事者の合意によって結ばれる労働契約について、成立や申し込みを一方的に強制する点があることで共通しています。企業の『採用の自由』を侵害し、直接雇用や再雇用、無期雇用を強制するような法規制のあり方は、労働市場に大きな混乱をもたらしかねない」(11頁)「非正規雇用に関しては、好ましくない労働契約であるといった見方もあるが、経営者にとって、すべての従業員は企業を支える大切な人材であり、そうした見方は実態に合わない。経済のグローバル化が進むなか、正規労働者で終身雇用が当たり前という考え方はあらためる時期にきていると言えよう」(13頁)とあけすけに述べています。正規雇用を無くして、非正規雇用労働に置き換えていくという1995年の「労働問題研究会報告」で打ち出した9割非正規職化しか、日帝が生き残る道はないということを強調しています。

 『労使間で見解が異なる論点に関する経営側の主張(その2)』は最低賃金制の問題です。一部の地域を除いて一律10円の最低賃金を引き上げたことが許せないと、最低賃金の決定に関わる人間をドウカツしているのです。「最低賃金引き上げによって、雇用調整や自主廃業、倒産に追い込まれる企業が出てからでは取り返しがつかないことを、最低賃金の決定に係るすべての者は肝に銘じておくべきであろう」(18頁)。資本との攻防の最大の焦点が賃金問題であることを示しています。地域最賃の最低は沖縄・岩手・高知の645円です。645円というのは一日8時間働いて5160円にしかならない額です。この額は労働力を再生産できない金額です。この最低賃金を10円上げることに抵抗する、日帝ブルジョアジーを1日も早く打倒しなければ労働者は生きていくことはできません。

「⑤労働規制の見直し」「高度な外国人材の受け入れ体制の整備、今後の成長分野を支える外国人看護師・介護福祉士の活躍機会拡大(国家試験における英語表記の拡充、現地における入国前研修の充実)などを進める」(32頁)は在留カードと一体です。日帝は研究者や医師、経営者ら専門的知識を持つ外国人にもっと来てもらおうと、「ポイント制」を導入しようとしています。学歴や年収に応じて点数をつけて「高度人材」と認定すれば日本で原則10年以上暮らさないと受けられない永住許可を5年で得られるようにするというのです。例えば博士号を持つ者は30ポイント。年収1000万円以上は40ポイントなど。70点がその基準です。ポイント制で『高度な外国人材』に在留資格を与え、非正規の難民を排除しようとする入管体制の強化を許してはなりません。

その上で核心は「第3章 今次労使交渉・協議に対する経営側の基本姿勢」です。『毎年誰もが自動的に昇給する定期昇給は、個々人の貢献・能力発揮が見られない場合にも、昇給する分の賃金の積み上げがあるため、仕事・役割・貢献度と適切な賃金水準との乖離が生じやすい』(59頁)と述べて定期昇給制度を解体しようとしています。一時金については「賞与・一時金の『個別化』を適切に進めることが重要』(60頁)と一時金の考査査定割合を拡大しようとしているのです。

 「①非正規労働者の処遇改善要求について」という項では、「非正規労働者の処遇については、すべての従業員の総額人件費の問題として捉える視点が重要であり、非正規労働者の処遇だけを取り上げて改善を図ることは、雇用の減少をまねきかねず不適当であると考える。正規労働者、非正規労働者を問わず、従事する仕事や人材活用などは様々であり人によって仕事の成果も異なる。…正規労働者と非正規労働者の処遇を定型的に捉えることは雇用の多様性を無視することになる」(66頁)と正規と非正規を分断・固定化し、非正規雇用労働者モノ扱いにしてはばかりません。「総額人件費の問題として捉える」ことにより、非正規雇用労働者の労働条件を改善するということは、正規雇用の労働条件を切り下げることを意味し、正規雇用の労働条件を守ろうとすると、非正規雇用労働者が首を切られ、更なる非正規に落としこめられるという関係です。この正規と非正規を分断して対立させる構造を粉砕しなければなりません。

 福島第一原発の問題に一言も触れていないのは日帝ブルジョアジーの無責任極まりなさを示しています。第一章は『東日本大震災からの復興』ですが、地震に言及しても原発の「げ」の字もありません。原発を主力産業にしてきながら原発をブラックボックスにして2012年の「経営労働政策」を語っている点に脱落帝国主義の破産的姿があります。怒りを持って2012年「経営労働政策委員会報告」を弾劾しましょう!