東京新聞の記事 実はよく知らない? 残業代の仕組み 時間帯で割増率に差

6月8日の東京新聞の暮らし欄の記事を紹介します。

【暮らし】

<はたらく>実はよく知らない? 残業代の仕組み 時間帯で

割増率に差

2012年6月8日

 残業代をめぐるトラブルが後を絶たない。毎月の金額は把握していても、その仕組みや算出方法まで知っている人は少ないのでは。きちんと支払われているかを確かめるためにも、残業代の基礎知識を知っておきたい。 (稲田雅文)

 厚生労働省がまとめた未払い残業代の指導状況によると、二〇一〇年度に全国の労働基準監督署から労働基準法違反として是正指導され、社員に百万円以上の未払い分を払った企業は千三百八十六社。約十一万五千人に約百二十三億円が支払われた。

 景気が後退した〇八年度以降、額は減っている=グラフ=ものの、担当者は「あくまで百万円以上の指導についてまとめた数字。未払いの問題が小さくなっているわけではない」と語る。

 労働問題に詳しい白川秀之弁護士(名古屋市)は「サービス残業は昔からあったが、企業の終身雇用が崩れた結果、残業代の未払いが問題視されるようになってきた」と指摘する。

 労基法は、休憩時間を除いて一日八時間、特例を除き一週間につき四十時間を「法定労働時間」と規定。毎週一回の休日を与えなければならないとする。これ以上労働をさせるには、労使が協定を結ぶことが必要となる。法定労働時間を超えて労働した場合に支払われるのが残業代だ。働いた時間帯、休日出勤などによって賃金の割増率が変わる=図。

 平日、会社が定める所定労働時間が午前八時から午後五時までで、昼に一時間の休憩を挟む場合、午後五時を過ぎても仕事をした際に支払われるのが時間外労働手当。雇用側は25%以上の割増率を加えた賃金を払わなければならない。継続して働き、午後十時を過ぎた場合は、さらに深夜労働手当の割増率25%以上が加わり、50%以上になる。

 週に一日も休みがない場合にもらえるのが休日労働手当で、35%以上の割増率。休日深夜の場合は割増率は60%以上だ。ここでいう休日は週一日の法定休日のことで、週休二日の企業の場合、どちらか一日が対象となる。

 残業時間が一カ月六十時間を超えたときは、超えた部分について割増率が倍増し、50%以上となる(中小企業は当面猶予)。

 法定と違う割増率を採る企業もあるため、就業規則や労働契約書を確認すると確実だ。

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 「管理職には残業代が支払われない、といった誤解が根強くある」と白川弁護士。通常、残業代が支給されない管理職でも「名ばかり」で、経営と一体の立場でなければ支給対象となる。残業代が定額の人も、実際の残業時間に基づき計算した残業代が、もらった金額より多い場合は超えた分をもらえる。

 タイムカードがないなど、労働時間を立証できない場合は会社に残業代を請求しにくいが、家族宛てに帰宅を伝えるメールや、警備会社の記録などが証拠になることも。未払いの時効は二年。

 白川弁護士は「労働組合を通じた交渉が一番望ましいが、個人で会社に残業代を請求する人も多くいる」とする。各地の労働基準監督署も相談に乗っており、悪質な場合は指導に動く。