東京新聞(11/16) 自治体の臨時・非常勤職員 待遇改善へ法整備を

 東京新聞(11月16日朝刊)「自治体の臨時・非常勤職員、待遇改善へ法整備」を掲載します。

<はたらく>自治体の臨時・非常勤職員

 待遇改善へ法整備を

2012年11月16日

 

集会で法整備を求め気勢を上げる非常勤職員ら=10月29日、東京都千代田区の参院議員会館で

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 地方自治体で働く臨時・非常勤職員が増え、不安定な待遇の改善を訴える声が強まっている。先の通常国会では、非常勤職員にもボーナスなどの諸手当を支給できるようにするため、地方自治法改正案の提出も検討されたが、実現しなかった。国も問題を認識しながら効果的な対策を打ち出せておらず、非常勤職員らはいら立ちを募らせている。 (福沢英里)

 「担当外の仕事なのに隣人トラブルの相談で三十分。人間性を否定するような言葉には参りました」。東海地方のある消費生活センターで、相談員として働く、五十代の女性は疲れた様子で話した。

 月-日曜の週四日、一日七時間半勤務の「常勤」扱いだが、ボーナスなどの手当はなく、年収は手取りで二百万円に届かない。十五年の経験があっても昇給はない。身分は一年契約の「特別職の非常勤職員」だ。

 相談業務に必要な法律は六十を超す。商品知識に精通する必要があり、オンラインゲームやスマートフォンなど、デジタル商品への相談にも対応するため、週末は自費で勉強会に参加する。しかし、専門性と経験は給与に反映されず、非常勤職員の中でも最低ランク。女性は「今の給与では若い人は自活できない。結局、夫の稼ぎで生活できる女性の仕事としかみられていない」と憤る。

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 地方自治法で非常勤職員に認められるのは報酬と交通費のみ。非常勤職員の仕事は臨時的で「生活給ではなく、勤務に対する給付」とみなされるためだ。ただ、近年は東京都西東京市のように内規を定め、非常勤職員にボーナスを支給する例もある。大阪府枚方市に対して、実態が常勤なら非常勤職員へのボーナスと退職金支給を認める大阪高裁の判例も出ている。

 実情に即した法改正が必要として、民主党のワーキングチームは自治体が条例整備すれば、非常勤職員にも手当を支給できるようにする地方自治法改正案の提出を検討。だが、先の通常国会では提出できなかった。

 非常勤職員の待遇改善に努める公務労協(東京)の藤川伸治副事務局長は「地方自治法が改正されれば『正規公務員の法律』から『非正規も含めた法律』へと意義が変わる。官製ワーキングプア問題解消へ、法改正は不可欠」と力を込める。

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 全国保育協議会(東京)の二〇一一年度の調査では、非常勤職員のいる公立保育所は二人に一人が非正規雇用と分かっている。非常勤職員が労働組合をつくり、自治体に訴えるケースも増えてきた。

 関東地方の公立保育所で臨時職員として働く女性保育士たちは五年前、組合を結成。現在は四十人余りが加盟する。市民税を払うとマイナスになるほどのボーナス額だったが、交渉で年約一カ月分から二カ月分に増えた。

 しかし、民営化される公立保育所が増える中、雇い止めの不安は消えない。組合員の女性保育士(57)は「正規職員と同じ仕事を任せておきながら、有期雇用で待遇に差をつけるのは納得いかない。自治体独自の働くルール作りが必要」と話す。

◆女性職場に目立つ「非正規」

 十月末に公表された自治労の実態調査によると、自治体で働く臨時・非常勤職員は全国に約七十万人。自治体職員の三人に一人は非正規で、どの自治体も急増している。消費生活相談員や保育士のほか、市民サービスの第一線で働く学童指導員、図書館職員など女性職場に目立つ。

 非常勤には臨時職員、一般職非常勤職員、特別職非常勤職員、任期付き短時間勤務職員などがある。民間のパート労働法のような、非常勤職員の処遇を整える法律がなく、自治体によって運用はまちまちだ。「非正規公務員」(日本評論社)などの著作がある、地方自治総合研究所(東京)の上林(かんばやし)陽治さん(51)は「非正規公務員は基幹業務を担い、正規と非正規の境界はあいまい。公共サービスの質の確保には、安定雇用と働きに見合った待遇が必要」と強調する。